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第4話 湯気立つ朝食
どこへ行こう?
僕は2Fの部屋を片端から見直して歩く。
すると突き当たりにある浴場についた。
光が点いている。
恐る恐る扉を開けてみる。
脱衣所、
そして湯船。
お湯は張られてあるものの
良かった、誰もいない。
僕はホッとしたのも束の間、背後から声をかけられた。
「誰かお探しかな?」
そいつは館の当主の肥満の男だった。
大きな彫刻の影に上手く隠れていたのだ。
「君もお風呂に入りに来たのか、よしよし」
当主はそうやって僕の肩に手をかけ、服を脱がそうとして来た。
「違います、風呂には入りません!」
抵抗し手を払うと、当主の眼光が一気に変わった。
「君はせっかく助けてくれた家の家人に無礼を働くのかい!?」
髪の毛を掴まれ、湯船に沈められる。
口から空気の泡がゴボゴボと激しく漏れる。
こ、殺される!
僕は何とか水上に顔を逃れようとするも、当主の巨体に乗っかられ思うようにならない。
しばらく苦しむとやっと顔を上げさせられ息が吸えた。
グッタリしている僕にニヤリと笑い、抵抗しなくなった体から衣服を剥がされる。
当主は裸の僕を、赤ちゃんを抱っこするような姿勢で自分の膝の上に座らせ、僕を抱え込む形になって湯船に入らせた。
当主のブヨブヨした裸の感覚がダイレクトに伝わる。
「あったかくて気持ち良いだろう?」
肩を撫でられお湯をかけられたかと思えば、そのまま体のあちこちを揉まれる。
そして侵入してはいけない部分にまで、平然と指を差し込みグニグニと揉み上げてきた。
「ふひひ、これはもう確かに処女じゃないな」
「!?止めてください!」
逃れようとするが羽交い締めにされる。
「君のあの声良かったよ。映像付きで無いのが残念だ」
「!?」
「君の部屋の音は筒抜けなんだよ、盗聴器でね。
ははは、恵人は当然知ってるけども」
ショックだ。あの部屋の誰かに常に見られているような感覚はそれか。
「ただこの感じだと、違う形の他の誰かのモノもくわえ込んでいるね?一人じゃないな……繁だろう?」
僕の反応に、見透かすように更に笑ってきた。
当主は僕の腕を後ろ手に掴んだまま、僕を持ち上げ自分の腰の上に落とし、背後から強引に俺をなぶった。
湯のぬめりが侵入を助け、どんどん僕の体はそれを呑み込んでしまう。
呻く僕を見て実に楽しそうに笑いながら好きなようにする。
「はぁ~気持ちいいねぇ、実に気持ちいい」
湯が波打つ水音が当主の腰使いによって激しく荒波をあげ、僕は一番の奥を何度も何度も打ち付けられた。
深く深くえぐられ、当主は自分勝手に呻く。
僕の中に達したのだ。
呆然と肩で息をする僕を湯船からザバッと上げさせ、陸地に寝かせると、満足したのか、ご機嫌に笑ってヤツは去っていった。
脱衣場の籠には丁度1人分の男物上下服が置かれている。
僕はこちらを失敬し、水に濡れた服を慌てて着替え
浴室を後にした。
……………………。
僕は何とか気分を整え、他の部屋に向かってみることにした。
2Fの赤い扉の部屋の前に来た。
恐る恐るドアの取っ手を回してみると、不用心にも鍵は開いていた。
誰もいなかった。
個人の私室のようだ。
ベッド脇には見覚えのあるものが壁に引っかけられ並べられている。
恵人の持っていた短剣と同じような装飾の施されたナイフが何本もコレクションとして並べられているのだ。
ここは恵人の部屋に違いない。
どこを探す?
衣装棚には、何も無い。
屈んでベッドの垂らされたベッドシーツの下を覗き見る。
ベッドの下には、何も無い。
机だ。
机の引き出しを開けてみる。
……これは……!
何かの【薬瓶】だ。
何かの薬瓶を手に入れた。
瓶にはラベルが貼ってあり、そこには亀甲の様な図画が……何かの化学式が描かれている。
C21H22N2O2……
これは…………
ストリキニーネの薬瓶だ…………。
ん…………?待てよ………。
何で僕は、そんなことがわかるんだ………?
さて、どうしよう?
僕は3Fに上がることにした。
三階の廊下だ。
そこへ扉が開く音がした。僕は慌てて廊下に飾られた彫像の影に隠れた。
恵人だ。
恵人がとある部屋から出てきて、階段を下りていった。
どうする?
⬜︎分岐⬜︎
*恵人が出てきた部屋に入る・・・次の話に進んで下さい。
*青い扉の部屋に入る・・・このまま下にスクロールして下さい↓
↓
↓
↓
そこは暗がりの中、天涯の窓から差し込む月明かりに照らされた不思議な空間だった。
祭壇のようなものが取り付けられ
何かを貼り付けにするような円盤上のマットのような、石でできた台座が置かれていた。
暗いから分かりにくいが、近寄ってみると変色の跡がおびただしい。
これは…………血!??
驚いたのも束の間、その時喉に熱い衝撃が走った。
僕の手に何かが落ちていく。
両手で受け止めたそれは、僕の首だった…………。
「やれやれ。
部屋から出ないほうが、あなたさまの為だったんですよ?
残念ですね。
フフフ」
~翌朝
執事の安堂は機嫌良さそうに、1Fの調理場に立っていた。
それこそ鼻唄を歌うように、楽しげにクッキングをしている。
オーブンを開けて、焼き加減を確かめ
大鍋の中のスープをかき回す。
冷蔵庫を開けると、銀色のバットにラップを張ったものの中に、ウィンナーのようなものが何本か、チラリ。
同じくその隣にはラップをかけられたカップグラスに白いマシュマロや白玉のようなものが二つ、覗き見えた。
パタン、とドアを閉めると丁度オーブンは焼き上がり、出来上がった料理は美味しそうな匂いをそこらじゅうに漂わせる。
器に盛る手つきもどこか嬉しげだ。
家の中の調理をも担当する彼は
暖かいそれらを丁寧に人数分の皿に盛り付ける。
まとまった足音が聞こえる。
家族全員がダイニングに集まったようだ。
「集まりましたね、皆様」
そこには夫妻、繁、恵人がテーブルに並んでいる。
「今日の朝食は何だか豪華だね。ディナーのようだ」
当主が誉めている。
恵人が一匙口に運ぶと何かに気付いたように怪訝な顔をして食べるのをやめた。
「ええ、予定が狂ってしまいましたが、一足早く捧げられた供物をさばきましたので」
執事は怪しげに笑う。
夫妻はニヤニヤ笑いながら食事に手を付け始め、
繁は無表情で何も考えていないような顔色でスープを口に運び始めた。
恵人だけは何かを考えている様子で顔を暫く伏せると、躊躇いがちにそれを食べ始めたのだった。
《終》
badend 朝食の中にいる供物
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