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第6話 脱出

他の部屋に行こう……。 ⬜︎更に分岐⬜︎ *青い扉の部屋に入る・・・次の話に進んで下さい。 *収納庫に入る・・・下にスクロールして読み進めて下さい↓ ↓ ↓ ↓ 収納庫を開けてみた。 天井がかなり低く、腰を屈めなければ入れないようなスペースだ。 横に電灯ボタンがあるので点けてみた。 これは………!  【車の鍵】だ! 車の鍵が壁にかけられていた。 僕は車の鍵をしまった。 僕は1Fに下りる覚悟を決めた。 僕は1Fのホールに降り立つと、すぐさま調理室に向かった。 調理室なら防火や防煙の設計上、内側から外に出れる窓がある筈だ。 思惑通り、人が出入りできるくらいの大型窓があった。 僕はそこから外に出る。 外の空気だ。 雨は降っていないが体の芯が凍るような冷たい外気だ。 辺りを見回すと、少し離れたところに駐車場があり、車が止められている。 輸入車らしきクラシックカーだった。 『僕はペーパーだが、一応高校卒業時に車の免許は取得している』 という記憶だけが、車を見て一瞬蘇ってきた。 僕は車のキーを差し込み回した。 よし、エンジンはかかった。 僕は車を発車させた。 随分走ったが、何せカーナビもついていない上こんな山道だ。 …………………………。 何だか車ごと迷子になっているような気がする。 ひとまず止めて、ここはどこか辺りを見回すことにした。 車から下りる。 「困った人ですね」 !? 「まさか窃盗を働いていくとは」 くくっとくぐもった笑い声が聞こえる。 執事の安堂だった。 まるで突然現れたようだ。 後部座席のシートの下にカバーがあった。 そこに身を隠していたのか? 安堂は笑いながらにじりよる。 どん、と樹に僕の背中があたった。 すると安堂の笑いがいきなりけたたましく狂ったものに変わった。 「あの家は私のものだ……私を呼び出し、私に生け贄を捧げるための永久機関……」 「あ、あなたは……」 「そう、私は召還されたのだ。あの家の二人の子供の父親の身体を奪い、母親の身体を捧げさせ、屋敷の使用人の男を当主に据えさせた。 あの男の妻は……何人目だったかな?随分前に お前のように館に迷い込んできた男だ。 お前だけじゃない……何人もいるんだよ あの館に迷い込んできた人間は………」 安堂の洪笑が暗い森に響き渡った。 「その度に私達一家全員で、殺したり あるいは……蹂躙したり。 繁にもあてがった人間がいたな 確か、悟といったかな? 私が手を下していないのにいきなり消えた人間だ。 家族の誰かが、殺してしまったんだろう。 さて、殺す前に私も楽しませて貰おう」 雑草を踏み潰す音が鳴った瞬間、 安堂は凄まじい速さと力で俺に襲いかかった。 簡単に腕を捕まれねじられる。 「ひっや、やめろぉ!」 捕まえた俺の服の下から腕を潜らせてまさぐる。 イヤらしい手の動きだった。 手はどこまでも遠慮なく入る。 「うぅ…」 身動きを拘束されながら呻いている間に、おかしな、変な気分になっていた。 とうとう僕自身を掴まれ、握られてしまう。 「顔が火照っているぞ」 そう言ってベロりと顔を舐められ、そのまま口を吸われる。 催眠術にかかったように力の抜けた俺を樹に捕まらせ、腰をつきださせる格好にし、一気に貫いた。 一瞬で最奥まで届く衝撃に呻く俺を獣じみた力で抑え込み、人間ではない力で突き上げる。 人並みの人間では勝てる力ではない。 身を丸めて僕は肘で移動し ほとんど地に崩れ落ちる体勢になりながら樹を体の支えにした。 まるで馬や熊に貫かれているような 樹木に捕まり力を逃がさないと内側から壊れていきそうな恐怖だ。 打撃されているような強い水の水圧に襲われているかのような激しさだった。 その内に、我慢できない快楽が襲うようになってきた。 逃れがたい快楽だった。 僕は身をよじりながら、耐え難い快楽を堪え忍ぶ。 口からは次第に淫らな声が次から次へと漏れていき 森を響き渡る。 先程までの衝撃を逃がすために反射的に漏れでる声とは毛色が違っているのを男も勘づいたようで ストレートに打ちつけていた腰はほじくるような動作に変わり、両方の手で僕を粘着質になぶり始めた。 たまらず僕は登り詰めた。 安堂も僕の中で同時に果てた。 熱い液体が広がる感触がする度に僕の口からも喘ぎが止まない。 一気に力を失う体を転がし自分と対面させる態勢にさせた安堂は、息を吐きながら僕の両頬を掴み深く口づけた。 「気に入った……ただ殺すだけじゃ飽きたらない…」 熱く舌を絡ませながら僕を見る目の色も燃えさかっている。 「ひっ」 両頬を掴んでいた手の指が、そのまま僕の皮膚に沈み込んだ。 「取り込んでやる……私の中に……閉じ込めて、 中で永遠に犯してやる………!」 「ああああぁぁ…」 僕は最後の力を振り絞り、自分のポケットの中を漁った。 ポケットの中を探り最初に掴んだもの。 それは、メスだった。 僕は思い切り、安堂の両目を切り裂いた。 安堂は叫んで腕を宙に振り回し怒りに震わせた。 「くっ、くそっ!何も見えない!」 そして、懐に飛び込むように安堂の心臓に突き立てた。 ………………。 気がつくと、安堂は跡形もなく消え去っていた。 僕はぼんやりしながら、また車を走らせた。 今度は不思議とまるで導かれるように スムーズに人里へと降りられた。 僕は車を乗り捨て、病院の前に倒れ、駆け込んで気絶した。 気付くと病室のベッドの上だった。 記憶は未だ戻らない。 病院では、僕は何者かに乱暴され、ショックで心因性の記憶喪失になったのだという扱いをされた。 ただ一つ不思議なのは、 僕が乗り捨てた筈の車も、車のキーもどこにも無いことだ。 もしかしてあの屋敷もいくら捜しても僕達には見つからないのかもしれない。 そしてあの家族は今もそこに居て、 次の迷い人を待ち焦がれているのではないだろうか。 《完》 END   悪夢の終焉

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