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第4話ノスティアの街へ

「あの…?手、そろそろ離して欲しいです」 しばらく手を離せないでいたが、だんだん頬が桃色に染まり目を伏せるアリンを見て慌てて手を離した。 「あっ、えっと…すまないっ」 「いいです、もう大丈夫です……それよりもう行きましょう!すぐに日が暮れてしまいますよっ」 お互い手を離した時からドギマギしていたがアリンが話を変えてくれた事で頭を切り替えることが出来た。 ーー恋だと気づいてからダメだ…だが、アリンの折角の厚意なんだ。俺が切り替えないと… 陽が沈む時間で良かった。俺のこの赤い顔もきっと夕陽が隠してくれるだろう、そう思いアリンの家へ向かうことにした。 道中ではノスティアの街のことや、アリンの話を聞いた。 ノスティアに住む猫獣人の大半は人間が怖い・嫌いと思っている事。詳しくは教えてくれなかったが、アリンには両親が居らず1人で暮らしているという事。 そして、人間が1人でノスティアの街に入るという事がとても危険だという事。 「そうか…過去に人間が猫獣人を奴隷にした歴史はあるからな。嫌われていてもおかしくない。…でもそれならアリンは私が怖くないのか?1人で暮らしているんだろう?泊めてもらいたい気持ちはあるが、アリンが怖いと少しでも思うなら…」 一緒にいたい気持ちはあるが、アリンを不安にさせたくない。その気持ちからかだんだん声が小さくなっていく。 「正直、最初はちょっと怖かったです。体も自分よりとっても大きいし…。でも、なんだかあなたは大丈夫な気がしたんです。この人は怖くないって。」 「っ…!…アリンが人間を街に入れたと知られたらアリンが危ないんじゃないか?」 「僕は構いません!僕よりあなたです、危ないのは。…僕に何日もあなたを守ることは出来ないかもしれないけど…せめて今夜はあったかいお風呂に入ってゆっくり休めるよう頑張りますね!」 にっこり笑うアリンの優しさに思わず目が潤んだ。 「なぜ、君は人間の俺にこんなにも優しくしてくれるんだ…?」 日はとっくに沈み月夜に照らされたアリンが振り返りながら答えた。 「僕は僕にできることをやっているだけです。…でも…あなただったから。かもしれません。」 月夜と振り返ったアリンの美しさに息を呑んだ。 そのまま何も言えないでいるとアリンは急に真剣な顔をし歩みを止めた。 「さて、そろそろ僕たちの住む区域に入ります。ここから正面突破はさすがに無理ですから、裏道で行きます。この時間帯は人通りは少ないけど僕たちは夜目が利きますからここからは静かに・素早く!お願いしますね!」 アリンはそう伝えると徐にリヒテルの手をとり居住区への明るい道ではなく反対の草木が生い茂る道を走り出した。 その様子を見ていた者が居たことに気がつかないまま…。

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