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第4話
なんとか席に着くと同時に入学式が始まる。寝不足のせいか間に合った安心感からかすぐに眠くなる。今なら絶対10秒で寝れる。ていうかもうこの際ちょっとだけ寝よう。
「ねぇ、名前なんて言うの?」
いや絶妙なタイミングで話しかけてくるじゃん。別にいいんだけど。
「俺の名前?」
「いや他に誰がいんの。」
ふっと笑うその顔でさえかっこいいなんてすごい。
「確かにそっか!俺は佐倉涼!」
「へぇ〜、かっこいい名前だね。」
いやなんだそのありきたりな感想は。
「あ、俺は椎名光生 。」
イケメンは名前までイケメンらしい。俺がそんな名前だったら完全に名前負けしている。
「ねぇねぇ、友達になろうよ。」
イケメンは俺の肩をトントンと叩く。
「え!?俺と?」
「いやだから他に誰がいんの。涼って呼んでいい?」
そんなお願いをこのイケメンは無意識であろう首を横に傾げながら聞くから男の俺でもドキッとしてしまう。
「いいけど、じゃあその代わり俺も光生って呼ぶからね!」
なんで俺は喧嘩を売るような言い方してるんだ。せっかく友達になってくれたのに。
「ふふっ、喜んで。」
いやもうなんなんだ。なんでそんな楽しそうに笑ってるんだ。
「涼!」
「え!?あっ、はい!」
急に呼ばれて驚く俺をよそに「はいっ!」と楽しそうに真似をしてはまた笑っている。
「ねぇ、俺に光生って呼んでみて。」
そんな急に呼べって言われても照れるし心の準備がまだできてない。
「ほら、はーやーく。」
「こ、こ、光生!」
焦らされたからしどろもどろになったじゃんと恨みをこめて睨むと少し赤くなった光生は口を手で押さえている。
「いやなんで俺に名前呼ばれただけで照れてるの。」
「いや、ね?そんなかわいい顔で呼ばれると思ってなかったから。」
「どこがかわいい顔なの。どうせ女の子にモテすぎてどの顔もかわいく見えるんでしょ!末期ですな。」
「あははっ、俺はもう末期なのか〜。」
なぜか嬉しそうにニコニコと笑う光生を無視して入学式が始まる前に配られたしおりを何気なくパラパラめくっているとまさかのクラス発表のページがあった。
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