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第13話 光生side

  「あっ、これくらい全然平気、平気!」 こけた体勢のまま答えるその人は俺を見上げ目が合う。その瞬間俺の心臓はどんどん速くなる。この感情が何かはすぐにわかった。一目惚れだった。なにか話したくてとっさに頭についていた桜の花びらを取り手を差し伸べる。 起き上がってお礼を言うその人を見ると同じネクタイの色をしていて入学式に急いでいたのかなと思って聞いてみる。 「ところで走らなくていいの?もうそろそろ入学式始まるみたいだけど。」 「え、、、ちょっとまって、、やばいっ!そうじゃん、入学式!俺はなにしてんだ!!ほら早く行こう!」 急に腕を引っ張られて焦って走り出すその人があまりにもかわいくて俺は思わず手を握った。自分だけ急げば良いのに俺のことも間に合うように連れて行ってくれることが嬉しくて手を引いて前を走る姿をずっと眺める。 なんとか間に合い2人だけになりたくてみんな着席していることを理由に先生にお願いして後ろに椅子を並べて座る。

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