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第53話
「あ、ごめんね!ご飯食べに行くところなのに話しかけちゃって、いってらっしゃい!」
「あ、いや全然!苺ちゃんありがとう!」
「わ!名前で読んでくれた!こちらこそありがとう!!」
苺ちゃん達はパタパタと走って教室から出ていった。ん?ところでなんで俺にお礼を言うんだ?
「ねぇ、おなかすいた。」
「え?あぁ、外行くんだったね!ってちょっと先に行かないでよ!!」
光生はスタスタと先に歩いて行ってしまった。
「ちょっと!どこまで行くの!?」
必死に追いかけると校舎から少し離れた体育館の裏に光生は座るから俺も隣に座る。丁度、日が当たるところでとても気持ちがいい。こんなところあったんだ。
「俺、涼の大好物がいちごだってさっき初めて知ったんだけど。」
「へ?なんか怒ってる?」
「別に。ていうかなんで飴もらってんの?」
「いやだってせっかく話しかけてくれたし、、あ、光生も食べたかった?」
にぎっていた飴を見せると光生は俺の手から取り自分の口にいれた。
「な、なんで光生が食べるの!」
「いいじゃん。あ、食べたかったの?じゃあちょっとだけね。」
光生はいきなりキスをして俺の口に飴を入れてきた。
「んふぅ……あっ……っん………」
一瞬俺の口に入った飴はすぐに光生の口に戻り唇が離れる。その瞬間飴をガリガリ噛んで空っぽの口を開けて見せてきた。
「ちょっ!こんなところでなんでキスするの!!ていうか飴!噛まないでよ!」
「誰もいないんだし別にいいじゃん。」
いまだにふてくされている光生はフンッと逆方向を向いて答えた。
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