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第61話

「次の問題も同じ感じでやると解けるよ。」 光生は隣で真剣に教えてくれているけど今の俺は勉強のことなんて頭に入らない。光生の袖をぎゅっと掴むと俺の方を向いてくれる。 「どうした?疲れた?ちょっと休憩しよっか。」 俺の大好きな優しい顔で微笑んでくれるから少しおねだりしてみる。 「………ねぇ、ちゅーしたい。」 「ふふっ、どうしたの急に。」   「……勉強終わってからじゃないとちゅーしちゃだめ?」 「んーん、全然だめじゃない。」 光生はそっとキスしてくれたけど一瞬で離れる唇に俺は名残惜しくなる。 「ん…もうちょっと、して……」 「え〜、だってこの前もうえっちなことはしないって言ってなかった?」 急にいじわるな顔をして言う光生はなんだか楽しそうだ。 「……うぅ……それは、その……」 「俺あの時傷ついたなぁ〜もう誘ったりしないって言われたの超ショックだったな〜。」 光生はあからさまに悲しそうな顔をする。 「だってぇ……」 あの時は恥ずかしくてそう言ってしまっただけだ。本当は俺だってしたい。なのに素直になれずそう言えなくて言葉に詰まってしまう。涙目になり俯く俺のほっぺたにすぐに光生の手が触れる。 「うそ。ごめんね、いじわるなこと言って。顔見せて?」 全然いじわるじゃない。いつだって光生は俺に優しくしてくれる。顔を上げて光生に自らキスをした。 「…っん…もうしないって言ってごめんね……」 すると光生は幸せそうに微笑む。 「初めて涼からキスしてくれた。」 その嬉しそうな顔に俺は我慢できなくなり光生の膝に乗って何度もキスをした。

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