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第73話
「ん〜、全くわからんぞ。」
光生がジュースを買いに行ってすぐに問題に行き詰まる。自分では解けなくなってそのまま光生を待ってみるけど全然帰ってこない。
「八坂先生いる〜?」
ぼーっとしていたら教室のドア付近から声がした。近くに座っていた俺はその声にびっくりして顔を向けると目が合ってしまう。黒髪が似合っていてスタイルもスラッとしていて光生みたいにモテそうだななんてぼんやり思っていたら突然話しかけられた。
「あ、ねえねえ八坂先生どこ行った?」
「えっ、しょーこ先生なら職員室戻ったと思うけど、、」
「そっか!さんきゅ!」
「うん!」
その人はニッと白い歯を見せて笑い教室から出て行こうとした瞬間急にまた俺の方を振り返った。
「あー!!このキーホルダー新作のゲームの主人公じゃん!」
俺の前に歩いてきてカバンにつけていたマスコットのキーホルダーを指さす。
「え!?知ってるの?」
「うん!ほら俺のスマホのホーム画面と同じ!」
見せてくれたスマホには同じキャラクターの顔があった。
「わ!本当だー!」
「俺めっちゃこのシリーズ好きで新作出た時すぐに買ったんだよねー!」
「俺も!発売日に買ったよ!」
普段学校ではしないゲームの話につい盛り上がってしまう。
「同じだ!まさかこのゲームの話ができる人が学校にいたとはなぁー!ねぇ、名前は?」
「俺?佐倉涼!」
「さくらちゃんか!俺は星月翼 !みんなから星 くんって呼ばれてる!2組だから隣のクラス!」
「星くん!すごいなんか漫画の主人公みたいなキラキラした名前だね!」
「あっはっは!!そんなかわいいこと言う人初めて出会った!!ねぇ、彼女いるの?」
なにがおもしろかったのか星くんはケラケラと笑う。
「え、あっ、彼女はいないけど、、」
光生って彼女なのか?そもそも付き合っていることを言っていいのかもわからず曖昧な返事をしてしまう。
「彼女は、、ね。」
俺の返事を聞いていないのかさっきから笑いっぱなしの星くんはなにかを言っていたけど聞き取れず俺はぽかんとその姿を見ていると突然ほっぺたに冷たいものが当たる。
びっくりして振り返ると光生が後ろにいて冷えたジュースを俺のほっぺたにくっつけていた。
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