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第80話

「意外とできたかもしれない、、」 1日目のテストが終わり思ったより問題を解けた自分にびっくりする。帰る準備をしている光生に話しかけるといつもみたいに優しく笑ってくれた。 「ふふっ、それはよかった。」 「光生のおかげだ!本当ありがとう!このままいけば明日もなんとかなりそう!」 「んーん、俺じゃなくて涼がいっぱい勉強がんばってたからでしょ。」 そんなことない。絶対に毎日教えてくれた光生のおかげなのに。相変わらずの優しさにいじわるだった朝のことなんて忘れてしまい、またさらに俺は光生の事を好きになっていく。 「ほら、帰ろ?」 そんな光生につい見惚れてしまっていたらしく、じっとしていた俺の肩をポンと軽く叩きゆっくり教室を出ていく。すぐに俺はその後を追いかけて2人で学校を出た。 「あ!さくらちゃんじゃん!椎名くんも!」 2人で歩いて帰っていると少し離れた所から誰かが俺たちの名前を呼んで手を振りながら歩いてきた。 「あ、星くんだ!」 距離が少し近づくと星くんだったことに気づく。星くんは横にきて俺の手を握りブンブン振りながら歩く。 「俺の名前覚えててくれてたんだ!」 「えー、そりゃ覚えてるよ!ね?光生!」 「うん。」 「嬉しいな〜!ねぇ!2人ともテストできた?」 「それが光生に勉強教えてもらったおかげで意外とできたんだよ!あっ、光生は頭良いから俺よりもできてる!」 「あっはっは!さくらちゃん頭悪かったの?確かに天然そうだもんね!あっ、俺戻らないと!今度また話そうね〜!」 星くんはそう言って友達と帰っていたのかすぐに戻っていった。ニコニコと話す星くんは元気で明るくて周りに自然と人が集まってくるのか大人数で帰っていて楽しそうだ。きっと人気者なんだろうな。 「ていうか今俺のこと頭悪いってバカにしてなかった?」 星くんのペースに巻き込まれて言われた時は気づかなかったけど今思い出すと絶対言ってた気がして俺は光生に確認する。 「涼ってなんで星くんと仲良くなったの?」 そんな俺の質問に違う質問で返す光生はさっきより楽しくなさそうな顔をしていて俺の頭の中はハテナマークでいっぱいだ。 「えー、なんでだっけ。あっ、確か星くんも俺と同じゲームが好きとかで少し話したんだよ!」 「ふーん。」 「ねぇ、星くんって頭良いのかな?」 「知らない。なに?気になるの?」 「いや別にそんな気になるってほどでもないけど!」 「ん、そっか。」 微妙な返事をする光生はやっぱり学校にいた時より様子が違って見える。そんな光生が心配で顔を少し横から覗き込むと光生は急に立ち止まり俺の腕を引っ張る。 「うわっ!急になに!?」 お互いに向き合うかたちになりぐいっと引っ張られた腕は一瞬離されるけどすぐにまた光生の両手で俺の手を繋ぐように包み込まれる。 「ねぇ、そんなに簡単に触らせないでよ。」 俺の手をぎゅっと両手で握る光生はどこか寂しそうでなぜか俺まで悲しくなってきてしまう。 「触らせるって?なにが?」 全くなんのことかわからない俺は余計に光生を悲しくさせてしまったかもしれない気がして勝手に涙が目にたまる。 「なんで涼が泣きそうになってんの。」 「だ、だって!光生の顔がなんか寂しそうだしっ、俺が知らない間になにかしたかなって、、」 俺が必死に話すと光生は切なそうに少し笑った。 「ん、ごめんごめん。ちょっと妬いただけ。」 「妬いた、、?って何に?」 「ん〜、星くんが涼の手握って歩いてたから!俺だって帰り道に涼と手繋いで歩いたことないのに。」 そう言って光生は少し拗ねた顔をして先にまた歩きだした。俺はすぐに隣に走っていきパッと光生の手を掴むと光生はまた立ち止まりびっくりした顔で俺のことを見た。 「俺が通学路で初めて手を繋いだの光生とだよ!ほら!入学式の朝、遅刻しそうになったとき!!一緒に手繋いで走ったじゃん!」 光生は立ち止まったままでなにも返事をしてくれない。 「……え、まさか忘れたの?」 いやまあ俺が入学式の日に転んだことは忘れてくれていいんだけど普通初めて話した時の事忘れるか?なんて思っていた時急に大きな笑い声がした。 「あっはっは!ねぇ!涼大好き!」 満面の笑顔で話す光生を俺は必死に止める。 「ちょっ!声が大きい!他に人がいるって!」 「あの時が初めてか〜!そっかそっか!」 急にまたご機嫌になった光生のことはもうよくわからず握っていた手を離し俺はまた歩きだした。 またすぐに隣を歩く光生はいつもの光生に戻っていた。 「じゃっ、勉強がんばってね。」 なぜか俺の家まで送ってくれた光生は俺の頭をポンポンと軽く触って自分の家にご機嫌で帰っていった。

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