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第82話
「はぁ〜やっとテストが終わった〜!」
長いテスト期間から解放された俺は一気に全身の力が抜けて机に伏せる。あれだけ勉強を頑張ったんだから達成感さえ感じてしまう。
「あ、ヘニョヘニョになってる。」
そんな俺を見て光生は後ろから話しかけてくるが振り向く気力もない。俺は顔を横にしてぼーっとする。
「ほら寝てないで帰るよ。おなかすいたし。」
テストは昼前に終わり部活がない生徒は帰っていいらしいが俺は今すぐには動けない。
「もうこのまま寝たい。起きられない。」
そう言って目を閉じると、ふふっといつもの光生の笑い声が聞こえてきてなぜかほっとしてしまう。
「なんかその笑い声落ち着く。」
俺がボソッと呟くと光生は俺の椅子を後ろからコツンと軽く蹴る。
「教室でそんなかわいいこと言わないで。」
「ん〜?今なんて言った?」
「んーん、なにも言ってない。」
テストが終わったからか光生の声が落ち着くからなのかわからないが眠たくなってきた俺は聞き取れずにもう一度聞くけど光生は教えてくれない。
「あのっ!佐倉くん!」
机に伏せて目を閉じていた俺に誰かが話しかけてきて目を開けると女の子の制服姿が見えて咄嗟にガバッと起きて立ち上がる。
「あっ、起こしちゃってごめんね!」
申し訳なさそうに謝るその子の顔を見ると前にも話しかけてくれたことを思い出した。
「あ!苺ちゃんだ!」
「わぁ!覚えてくれてたんだ!嬉しい!」
俺に覚えられていることが嬉しいのか隣にいた友達と笑い合っていて苺ちゃんは変わっている。光生ならともかく俺なのが謎だ。
「あのね!私たち料理部で今からご飯つくるからもしよかったら食べにこない?」
苺ちゃんたちはキャッキャと楽しそうに話しながら誘ってくれる。
「え!?俺なんかが食べに行っていいの?」
「うん!嫌じゃなかったら来てほしいの!1時間後くらいだけどもしよかったら椎名くんも!」
「行きたい!ね?光生も行くでしょ?」
チラッと光生を見るとじーっと俺の顔を見た後、ニコッと苺ちゃん達に笑いかける。
「わぁ!じゃあ決定ね!後で家庭科室に来てね!」
そう言って苺ちゃん達は教室を出て行き俺は椅子に座り直した。
「起きられないんじゃなかったの。」
突然光生の声が聞こえ顔を向けると頬杖をついていてムスッとしている。
「俺の時は起きなかったくせに苺ちゃんに話しかけられると起きるんだ?」
「え?なんか怒ってる?」
「別に。」
光生はフンッと横を向いてしまったが俺は気にせずに話しかける。
「ねぇ、なに作るのかな〜」
「涼って料理上手な子が好きなの?」
「え、好きとかじゃないけど良いな〜って思うよねー!」
「あっそ。」
なぜかさっきから返事は冷たいが話しているうちに気づけば1時間経っていて俺たちは家庭科室に向かった。
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