83 / 275
第83話 光生side
やっとテストが終わり勉強をがんばった涼を俺の家に連れて行き、これでもかというほど甘やかしたかったのになぜか苺ちゃんの手料理を食べることになった俺達は家庭科室に向かっている。
「なんかおいしそうな匂いがする!」
廊下を歩いているとキラキラした目で呑気にそんなことを言う涼はかわいいがなんだかモヤモヤする。
「ん。そーだね。」
目を合わせニコッと微笑むと嬉しそうに笑っていてそんなに苺ちゃんの作ったご飯が食べたいのかななんて考えては1人で焦ってしまう。
ドアを開けると意外と人がいて女の子達は急に入ってきた俺たちにびっくりしていた。
「佐倉くんと椎名くんこっち!」
声がする方を見ると苺ちゃんが手を振っていて涼も手を振りながら駆け寄って行き俺も行こうとすると数人の女の子達が俺の周りに集まってきた。
「椎名くんだ!もしかして味見しにきたの?」
数名の女の子達はキャッキャと話しかけてくる。だが今の俺はそれどころではない。適当に返事をして涼の所へ行くと綺麗に並べられたご飯を見てはしゃいでいた。
「和食だー!俺ご飯の中で和食が1番好き!」
飴をもらった時みたいにまた1番好きなんて言う涼に苺ちゃんは嬉しそうにしている。
「よかった!でも意外だね!なんかオムライスとか洋食が好きそうなのに!」
「オムライスも好きだけどこんな炊き込みご飯とか最高!早く食べたい!」
炊き込みご飯に豚汁に煮物まで用意されたご飯は涼のテンションを上げるばかりでそんな状況が楽しくない俺はいっそのこと美味しくなければいいのになんて最低なことを考えてしまう。
「あっ!ここに座って食べて!椎名くんも!」
「わーい!いただきまーす!」
すぐさま涼は椅子に座り、一口食べると俺の大好きなキラキラした笑顔を苺ちゃんに向けた。
「めちゃくちゃおいしい!苺ちゃん達すごい!」
「本当!?よかったー!いっぱいあるからたくさん食べてね!」
「やったー!テストで疲れた体が生きかえる!」
そんなベタ褒めする涼に苺ちゃん達は嬉しそうに笑い俺達の向かいに座った。
ともだちにシェアしよう!