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第85話
「光生は自分で食べられるでしょ!」
急に食べさせてなんて言われて動揺してしまった俺はつい突き放した言い方をしてしまう。
「あっそ。」
口を閉じた光生はいつもの優しい笑顔ではなく怒っている作り笑顔で一瞬笑うと苺ちゃんからグラスを優しく受け取った。
「お茶ありがとう。」
「全然!椎名くんもいっぱい食べてね!」
苺ちゃんは光生の怒った表情に気づいていなくて俺は少しホッとする。
それからすぐに光生はいつもの顔に戻ってみんなで話しながらあっという間にご飯を食べ終えた。
「俺が洗うよ。」
光生は食べ終えた食器を洗おうとしていた女の子達に声をかけ手際良く洗っていて光生がモテる理由がよくわかる。
途中、光生のシャツの袖が水につきそうでさっき怒っていたから触らないほうがいいかななんて思いながらも無言のまま俺がまくってあげるとさっきの怒った顔とは違う俺の大好きな笑顔で微笑んでくれてドキドキしてしまう。
「俺がお皿を拭く!」
このままじゃ心臓の音が聞こえてしまうんじゃないかと思って俺は大きい声でそう宣言すると、光生はふふっと笑った。
きっと、さっき俺が断ったことを怒っているのに優しい顔を向けてくれる光生に俺の胸は苦しくなる。
「今日はありがとう!ごちそうさまでした!」
「こちらこそ!また食べに来てね!」
片付け終わり苺ちゃん達はまだ家庭科室に残るらしくお礼を伝えて俺達はいつも通り一緒に学校を出る。
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