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第104話

「わぁ〜、観に来てる人たくさんいるわね〜!」 体育館に入ると試合は思った以上に盛り上がっていて俺と先生は邪魔にならないように2階に行く。その間にもどんどん点数が入っていてその度に歓声が上がっている。 「あ!星くんだ!」 コート全体が見える場所に行けばすぐに星くんを見つけることができた。 「ふふっ、頑張ってるわね!」 きっと1年生で試合に出るなんてプレッシャーを感じているはずなのに堂々としている星くんは本当にすごい。真剣な顔でコートを走る姿を見ているとふいに星くんと目が合った。 その瞬間相手からボールを奪うと俺の事をもう一度見てニッと笑えば遠い場所から綺麗な弧を描き星くんはシュートを決めた。 「すごい!!しょーこ先生今の見た!?」 「見たわよ!あんなに遠く離れてる所から決めるなんてさすがね!」 大歓声のなかすぐにまた走り出した星くんはそれから何度も点数を取り試合に勝った。 「熱戦だったわ〜!お互いよくがんばった!」 翔子先生はさっきからずっと拍手をしていて俺もつられて拍手をすればバスケ部の人達は丁寧にお辞儀をしてくれた。でもその中に星くんはいなくてキョロキョロと探してみれば試合を観に来ていた人たちに囲まれて楽しそうに話していた。 そんな姿をボーっと見ていると突然星くんは俺の真下まで走ってくる。コートから俺達の事を見上げている星くんに翔子先生が気づくと俺の肩をポンポンと叩いた。 「うふふっ、じゃあ私はまだ仕事が残ってるから職員室に戻るわね!」 翔子先生はなぜか早足で帰っていった。 「さくらちゃん本当に来てくれたんだ!ありがとう!」 2階にいる俺に星くんは今朝見たときと同じ笑顔で手を振りながら話しかけてくれる。 「うん!星くん大活躍だったね!足も速いしシュートも綺麗だしすごいかっこよかった!」 「あははっ!なんでいつもそんなに俺のこと褒めてくれんの!」 大きな声で笑う星くんに俺は手を伸ばしてみると不思議そうに首を傾げた。 「ハイタッチ!届かないけど!」 ハイタッチを求めるように手を大きく開いて少し振れば星くんも同じようにしてくれる。 「なにそれ!エアハイタッチじゃん!」 お互いに手を伸ばしながら大笑いをすれば今よりもっと仲良くなれた気がして嬉しくなる。 「ちょっとそっち行くから待ってて!」 星くんはそれからすぐに俺の所へ来ると手すりに頬耐えをつきコートを眺める。 「ここからよく見えた?」 少し振り向きながら俺の方を見る星くんの横に並べばまたコートの方へと視線を向けた。 「うん!シュート決めたところもばっちり!すごい簡単そうに決めるからびっくりしちゃった!」 「ははっ!さくらちゃんが見てくれてたから俺すっごい頑張ったんだよ!超集中してた!」 「えー?その割には最初にシュートする時に俺に余裕そうな顔で笑いかけてきたじゃん!」 「あははっ!そうだっけ?」 わざととぼけているのかはわからないけど星くんはそれから楽しそうに試合の話をした。 「あ、もう俺行かないとだ!ごめん、俺ばっかり話しちゃって!」 「ううん!バスケあんまりしたことないから聞けて楽しかった!ありがとう!」 今から部活のミーティングがあるのか早足でコートに戻っていく星くんに手を振ればなぜか俺の方に引き返して来て目の前に立ってきた。 「ん?どうしたの?」 「ハイタッチ!やっぱり直接してよ!」 手のひらを俺に向けてニコッと笑う星くんにハイタッチをすれば「ふふっ、ありがと!じゃあまたね!」と言い残しすぐに戻っていった。

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