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第110話
光生は顔をそらす俺を見て楽しそうに笑っているが俺はそれどころではない。今のキスで反応してしまったものをどうすればいいかわからず頭の中はパニック状態だ。
「光生……」
「ん?」
そんな俺に気づいていないらしい光生は首を傾げていつものように優しく微笑んでくる。
「……どうしよう…勃っちゃった…」
結局必死に考えても自分だけではどうすることもできなくて正直に伝えてみると光生は驚く様子もなくズボンの上から俺のものにそっと触れた。
「ふふっ、本当だ。」
すぐに勃ってしまう俺を知っているからなのかいつものように笑いスリスリと撫でながら指を動かしてくる。
「あっ…!だめ…もっと反応しちゃうから離して!!」
「ん?いいじゃんここで出しちゃえば。」
良い訳がない。学校でそんなこと恥ずかしくて絶対にできないしそれにいつ先生が帰ってくるかもわからない。
「下着につかないように脱ぐ?」
それなのに何も気にせずこんなことを聞きながらズボンに手をかける光生を俺は必死に止める。
「だめだって…ていうか学校でしないからっ!」
光生の手を握りこれ以上反応しないように呼吸を整え自分を落ち着かせる。
「えー、残念。保健室で恥ずかしそうにイく涼が見られると思ったのに。」
光生はベットから降りると大きく伸びをして制服を整え俺の手を引っ張り起き上がらせてくれる。
「午後は授業出よっと。」
あくびをしながら頭をガシガシとかく光生を見ているとこのままでは俺まで眠たくなってしまいそうで慌ててベットから降りた。
「遅くなってごめんなさいね〜」
ガラガラと扉が開き職員室から戻ってきた先生は謝りながら俺たちの所に来ると光生の顔を見て安心した顔をする。
「うふふっ、椎名くん元気になったみたいでよかったわ!」
「うん。先生のおかげ。それに取られたと思ってたら戻って来てくれたから。」
なんの話をしているのかわからない俺は不思議に思っていると先生は俺の顔を見てニコッと微笑む。
「あらあら、そういうことね!」
どうやら先生と光生にしかわからない話らしい。
「ほらもうすぐお昼休み終わるわよ!」
時計を指さす先生に光生はありがとうと小さな声で呟くと俺の手を引っ張り保健室を出た。
「ねぇ、さっきなんの話してたの?」
「ふふっ、内緒。」
先生との会話が気になって聞いてみるけどなぜか光生は教えてくれない。
「それよりもうおさまったの?」
「え?何が?」
「キスだけで勃ったそれ。」
俺のものを見てニッといじわるに笑う光生に恥ずかしくなり繋がれていた手を勢いよく離した。
「おさまってるから見ないで!」
怒る俺にごめんごめんと無邪気に笑いながら謝る光生がなんだか愛おしくてやっぱり保健室で抜いてもらえばよかったななんて少し後悔したことは俺だけの秘密にしておこう。
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