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第111話 光生side
「さくらちゃん!体育館行こー!」
午後の授業が終わり放課後になると星くんはすぐに俺たちのクラスにやって来た。
「わっ!ちょっと待って!」
慌てて机の上を片付ける姿さえかわいい涼を今から星くんの所へ行かせたくない。ここで行かないでと言えばきっと優しい涼は行かないでくれる。それでもわがままな嫉妬で涼の自由を奪いたくない俺は後ろからボーッと眺めることしかできない。
「なにボーッとしてんの?」
聞き覚えのある声が聞こえたかと思えば後ろから俺の肩をポンっと叩かれ振り返る。
「あ、夢じゃん。」
「あははっ!すっごい機嫌悪い顔してる!」
俺の顔を見るなりゲラゲラと笑うこいつは中学の同級生だ。
「さくらちゃんってこの子?めっちゃかわいい!」
「そう!今日手伝ってくれるさくらちゃん!」
突然涼の手を握りブンブンと振りながら星くんに聞く夢を見て俺はあることに気づく。
「私の名前は黒崎 夢 !バスケ部のマネージャーしてるの!」
そうだった、夢はバスケ部のマネージャーだ。
「さくらちゃんのことは星くんからいろいろと聞いてる!今日はよろしくね!」
涼がかわいすぎて手を握ってしまうのはわかる。突然のことに戸惑っている顔だって誰よりもかわいい。だけどいくらなんでも長い時間手を握りすぎだ。
「で、いつまで手繋いでんの?」
繋がれた手を無理矢理離しこれでもかと夢を睨めばまたゲラゲラと笑いだす。
「あははっ!だからなんでさっきから怒ってんのよ!」
「別に怒ってない。」
言い合う俺達を涼と星くんは不思議そうに見ている。それに気づいた夢はニコッと笑い俺の事を指差しながら説明する。
「あ、椎名とは同じ中学だったの!バスケ部の部員と私がマネージャー!」
「えっ!光生と一緒の中学!?」
涼は驚いた顔で俺の事を見る。そんなにびっくりしなくてもと思いつつ目が合っている状況が嬉しくてなにも言えない。
「さくらちゃんって下の名前なんて言うの?」
それなのに夢は俺の事を見てくれていた涼に話しかける。一瞬で涼の目に映るものは俺から夢に変わり自然とため息がでる。
「涼!佐倉涼!」
「え?涼って言うの?それってもしかして、、」
このよくわからない状況に俺は2人が話しているのをぼんやり聞いていると星くんが急に大きい声を出し夢の話をさえぎった。
「あー!!部活遅れる!!」
「うわっ、びっくりした!星くん声大きすぎ!さくらちゃん早く行こ!」
「うん!光生また明日ね!」
俺に手を振ると涼は2人に引っ張られながら教室を出ていった。
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