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第113話

マネージャーの仕事は思った通り大変で役に立てたのかわからないまま気づけば部活が終わっていた。 「さくらちゃん本当に助かった!ありがとう!」 夢ちゃんは俺よりも仕事量が多いはずなのに助かったなんてお礼を言ってくれる。 「全然!マネージャーなんて初めての経験できたし俺の方こそありがとう!それに夢ちゃんと一緒だったから楽しかった!」 「やだー!さくらちゃん本当にかわいい!」 夢ちゃんは腕を広げて俺に抱きつこうとした瞬間急にピタっと目の前で止まった。 「あ、椎名に怒られちゃう!」 そう言ってニヒヒと笑いながら離れる夢ちゃんはおちゃめですごくかわいい。そんな姿を今日見ていて何回も羨ましく思えたと同時に俺にはないものを持っていて少し落ち込む。 「いいなぁ、、夢ちゃんはかわいくて、、俺にもそんなかわいさがあればなぁ、、」 「え?さくらちゃんすごいかわいいよ?」 「そんな無理に励まさなくてもいいって!」 「本当だよ!椎名だってさくらちゃんに超デレデレじゃん!」 「えー?そうかなぁ、、それなら良いんだけど、、」 夢ちゃんみたいな人に褒めてもらえると嘘でもやっぱり嬉しい。 「ほら、私で良ければいつでも相談に乗るから!元気だして!」 俺のことを励まそうと全力でガッツポーズをする夢ちゃんがなんだか面白くて2人で笑っていると落ち込んでいた気持ちはスッとどこかに消えていく。 「なになに?なんでそんなに盛り上がってんの?」 すると後ろから声が聞こえてきて振り返れば星くんが笑顔で駆け寄ってくる。 「星くんには内緒!!ね?さくらちゃん!」 夢ちゃんはニコッと笑いながら俺に同意を求めてきて俺は大きく頷いた。 「えー!ずるい!俺にも教えてよ!」 駄々をこねる星くんを見て夢ちゃんはキャッキャと楽しそうにはしゃいでいて俺と目が合えばまたさっきみたいにニヒヒと子供っぽく笑いかけてくれる。 「ねぇ!さくらちゃん明日も来てよ!」 星くんは突然そんなことを言い出すと夢ちゃんは顔を輝かせた。 「私も同じこと思ってた!明日も一緒にマネージャーしようよ!もう1人のマネージャーの子が明日も休みなの!」 「そうなの?なにもできないけど俺で良ければ、、」 「やったー!!じゃあ決定ね!」 新しくできた友達にこうやって誘ってもらえることが俺は嬉しくて返事をすると2人は声を揃えて喜んでくれた。 「さくらちゃんがいてくれたら俺すっごいシュート決まるんだよね!」 星くんは持っているボールを近くのゴールに投げると言った通りきれいにシュートを決めた。 「ええ!?俺?なんで!?」 「んー?内緒!!」 「えー!気になるじゃん!教えてよ!」 「やだ!さっき教えてくれなかったからそのお返し!」 いたずらっぽく笑う星くんはバスケをしている時に見せる真剣な顔とはまた違うかっこよさがあってこのギャップに男女問わず好かれるんだろうなと実感する。 「あ!俺まだ練習して帰るから暗くなる前に2人とも帰りな!また明日ね!」 今日はありがとうと俺の頭を撫でた星くんは手を振って練習に戻っていった。 「さくらちゃん一緒に帰ろ!」 「うん!」 それから夢ちゃんと帰っている途中いろんな話で盛り上がり話し足りない俺たちは別れ道で連絡先を交換した。 「あ!今日椎名に電話してあげて!きっとやきもち妬いてると思うから!めっちゃ不機嫌かも!」 「ん?わかった!」 なぜか楽しそうに笑う夢ちゃんになんでやきもちを妬くのか聞けずとりあえず返事をする。 「うふふっ!じゃあまた明日ね!」 「うん!また明日!」 バイバイと手を振って帰っていく後ろ姿を見送ったあと楽しかったななんて今日のことを思い出しながら俺も家に帰った。

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