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第127話
「んっ……っふぅ………んうぅ…!」
光生に押し倒されて何度もキスをされることに今だに慣れない俺はすぐに息ができなくなる。
「っはぁ……こうぅ…んっ…ちょっとまって…」
いつもならそんな俺にすぐに気づいてキスを止めてくれるのに今の光生はさらに深いキスをしてくる。
「……っ…涼…まだ全然足りない……」
一瞬見せてくれた光生の顔はいつも以上にえっちで俺の胸はドクンと鳴る。足りないと言ったばかりなのにさっきよりも軽いキスをしてすぐに離された唇にやっぱりまた俺のことを考えて気をつかってくれたことにたまらなくなる。
「我慢できなくてごめん。苦しかったでしょ?」
心配そうに俺のことを見る光生に何度も首を横に振る。
「んーん。光生のしてくれるキス大好き、、それに今のも苦しくて気持ちよかったから、、」
「ふふっ、涼はいつもそうやって俺が安心すること言ってくれるね。」
俺の頭を撫でた後ベットの横にある小さな棚に手を伸ばし俺が初めて見るものを光生はいくつも手に取る。
「なんで照れてんの?」
「…だって初めて見るから……」
「ん?何を?」
光生からしたらなんでもないことでも俺からすれば刺激が強すぎる。手に持っているものを指させば光生はニコッと笑う。
「あぁ、ゴムのことね。」
そう言って照れる俺をよそに光生は慣れた手つきでゴムをつけている。
「ふふっ、涼もつけたいの?」
俺と目が合ったわけでもないのに光生のことを見ていたことがなぜかばれてしまう。
「んーん、俺つけたことないから……」
本当はつけてみたいけど俺がつける意味なんてないしそれにどうやってすればいいのかもわからないしきっとつけるのに時間がかかるし考えればキリがない俺は光生に迷惑をかけたくなくて首を横に振ると光生は見たことないくらい優しくニコッと笑った。
「俺が涼のにつけてもいい?」
きっと俺の気持ちに気づいていてこういう時には一切からかってこないところが本当に優しくて大好きだ。光生は何個か持っているゴムの箱を選び見せてくれる。
「ねぇ涼見て!これチョコレートの匂いするって!つけてみる?」
優しい声で楽しそうに聞いてくれる光生にコクリと頷くと器用につけてくれた。俺と光生では絶対ゴムのサイズが違うはずなのにつけてくれたものは俺にピッタリだった。
「光生…これ……」
思えばさっき見せてくれた箱は開いてなかったしもしかして俺のために買ってくれてたんじゃないかと思って光生を見るとニコッと笑ってくれる。
「ふふっ、甘くていい匂いするね。俺チョコレート大好き。」
絶対に俺が気づいたことをわかっているのに優しい光生はそんな俺に気をつかわせないためか知らないふりをしてくれている。
「涼は?チョコレート好き?」
「……好きだけど光生のほうが大好き。」
小さくて些細なことでも気づいてくれてどこまでも優しい光生が大好きで仕方ない。
「あははっ、俺チョコレートに勝っちゃった!」
さっきから嬉しそうにニコニコと笑う光生の手に触れるとギュッと握り返してくれる。
「光生、、ありがとう、、」
俺用のゴムなんて買っておく必要ないのに買ってくれていたこともきっと俺が喜ぶようにいい匂いのものを選んでくれていたことも初めてでつけ方がわからない俺に気づかないふりをして何も言わずにつけてくれたことも全部嬉しくて泣きそうになるのを必死にこらえてお礼を言うと俺の頭をガシガシと強く撫でられる。
「ふふっ、なんのこと?」
わざとらしくとぼける光生につい笑ってしまうと光生は俺のことを安心した顔で見る。
「よかった、やっと涼が笑ってくれた!」
「え?」
「涼さっきから不安そうな顔してた。それはそれでかわいかったけどやっぱり笑った顔が1番かわいくて俺は大好き。」
自分では気づかなかったけどそんな顔をして光生に心配をかけていたことに今さら気づく。
「なんでもしたいこと遠慮せずに言ってくれていいんだからね?涼がしたいこと全部叶えてあげたいし。それとこれは俺のわがままだけど涼の初めて全部欲しいからこれからもっと涼のこと教えてよ。」
ニッと笑う光生に頷いてキスして見ると光生は温かい体で俺のことをギュッと抱きしめてくれた。
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