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第143話
「ごめんね…何回もベッド汚しちゃって……」
「こら、謝るのだめ。俺は涼が気持ちよくなってくれて嬉しいんだから。」
結局ベッドまで濡らしてしまったのに光生は気にしていないのかニコニコと笑いながら俺の頭をガシガシと撫でてくれる。
「一緒にお風呂入ろっか。」
落ち込んでいる俺を慰めるように顔を覗き込む光生にたまらなくなり俯くといつものようにほっぺたを触られる。
「朝風呂嫌い?」
どこまでも優しい光生は返事をしない俺にめんどくさがることなく向き合ってくれる。
「……好き」
「ふふっ、じゃあ俺のことは?」
「……大好き」
チラッと見上げればニッと笑う光生がやっぱりかっこよくて胸がギュッとなる。
それからお風呂に入って存分に甘やかされ部屋に戻るころにはすっかり落ち込んでいることなんて忘れるくらい俺は元気になっていた。
「光生!さっきから近いって!」
「いいじゃん。あんなに恥ずかしいことした仲なんだし。」
「だからそれ言わないでよ!さっきお風呂でも散々聞いたから!」
「はぁー、おもらしするところ見ててなんて言うえっちな涼すっごいかわいかったなー。」
わざと大きな声で話す光生を睨んだところでどうにもならないことを知っている。
「だって…なんかムラムラしてて…えっちなことしたくてしょうがなかったんだもん……」
いつもはあんなに変態みたいなこと考えてないし性欲だって人並みくらいだ。
「ふふっ、わかってるって。」
それなのにおかしそうに笑う光生は本当にわかってくれているのだろうか。誤解されたままも嫌だし説明すれば言い訳をしているみたいで余計に変に思われそうだしもう放っておくしかないらしい。
「涼くーん!!!遊ぼー!!」
突然部屋の外から聞こえる声とともにドタドタとかわいい足音がする。
「莉緒だ。帰ってくんの早くない?」
光生は少し不満そうにしていて鍵がかかったドアを開けようとしない。トントンとドアを叩く莉緒ちゃんがかわいくて俺が開けにいくと光生とそっくりな笑顔で足元にギュッとくっついてくる。
「涼くん!!」
やっぱりかわいすぎる。目線を合わせるように座れば勢いよく抱きついてくるところなんてかわいすぎて言葉にならない。
「ごめんなさい!涼くんに会いたいってあれからずっと言って聞かないの、、早く帰ってきたからお邪魔しちゃったわね、、」
申し訳なさそうに謝りながらやってきた光生のお母さんは今日も美人で緊張してしまう。
「全然!俺も莉緒ちゃんに会いたかったから嬉しいです!」
「うふふっ、本当に涼くんかわいいわ!」
今のどこがかわいいのか全くわからないけど褒めてもらえたのならよかった。
「光生!そんな不機嫌な顔しないの!!そんなんじゃ涼くんに嫌われちゃうわよ!」
光生が怒られているところなんて滅多に見ることがないからすごく新鮮だ。
「帰ってくんの早すぎでしょ。莉緒連れてもう1回ばあちゃん家行ってきてよ。」
「なに言ってんの!莉緒に涼くん取られたからって怒っちゃって!ね?涼くん!」
俺に話を振られ戸惑っていると楽しそうに笑う姿は光生そのものだ。
「ご飯まだでしょ?後で持ってくるから涼くんゆっくりしていってね!」
そう言ってヒラヒラと手を振りながら光生のお母さんは戻って行った。
「涼くんちょっと待ってて!」
走ってどこかに行ってしまった莉緒ちゃんは大きな箱を持ってすぐに戻ってくる。
「莉緒が集めてるシール見て!いっぱいあるの!」
小さな手でいろんなシールを取り一生懸命見せてくれるなんて尊すぎる。ていうかもうシールを集めてる時点でかわいすぎて俺の頬は緩みっぱなしだ。
「わぁ!すごい!たくさん持ってるんだね!」
そう言うとキラキラした顔で頷く莉緒ちゃんは俺の心を一瞬で射抜く。
「これ光っててかわいい!いいなぁー!」
きっとお気に入りなんだろうなと思いながら手に取ると莉緒ちゃんはニコッと笑う。
「そのシール莉緒も大好き!2枚あるから涼くんにあげる!」
「ぇえ!?そんな大切なものもったいないよ!」
「んーん、涼くんのこと大好きだからいいの!」
なんて良い子なんだ。こんなに素直で健気な子が毎日家にいるなんて光生が羨ましすぎる。
「本当!?すっごい嬉しい!ありがとう!」
貰ったシールをスマホのカバーに挟み莉緒ちゃんに見せると手をパチパチと叩いて喜んでくれる。
「わーい!莉緒ちゃんとシールおそろいだ!本当にありがとう!」
「えへへ、涼くんとおそろい!」
頭を撫でると俺の膝にちょこんと座りスマホに挟んだシールを眺める姿は俺のことを癒しまくりでもうメロメロだ。
「莉緒!兄ちゃんにもそのシール頂戴。」
やばい莉緒ちゃんがかわいすぎて光生の存在を忘れていた。チラッと見れば目が合い不機嫌な顔をしている。
「これは涼くんとおそろいだからだめ!兄ちゃんはこれあげる!」
そう言って違うシールを渡されると光生の機嫌はさらに悪くなる。これは後で絶対に何としてでも機嫌を取らなければ大変なことになってしまう。俺はバレないように光生が喜びそうなことを必死に考えた。
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