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第148話 光生side

「今日の星くんやっぱりいつもと違う…」 なにもわかっていない涼は自分の手を見つめ不思議そうにしている。 「涼のジュース買ってくるから待ってて。」 聞きたいことなんて山ほどあるけど星くんのことを考えて欲しくなくて平気なふりをしてしまう。同じものを買いに行こうとすれば腕を掴まれ止められた。 「……それ一緒に飲むからいい。」 「……え?」 顔を赤くしながらそんなことを言うなんてずるい。俺を選んでくれた感じがして勝手に嬉しくなってしまう。 「ふふっ、じゃあ外で食べよっか。」 コクリと頷く涼と外に行けばストローを刺して口まで持ってきてくれる。 「光生、あーんってして!」 「ふふっ、飲ませてくれるの?」 学校でそんなことをしてくれると思っていなかったから絶対に俺の顔は緩みまくっている。 「……おいしい?」 「うん、涼が飲ませてくれたからおいしい。ありがと。」 頭を撫でればなぜか涼は泣きそうな顔をする。頬にそっと触れてみるとチラッと俺のことを見上げた。 「ん?どうした?」 「さっきの星くんのことなんだけど……」 不安そうに小さな声で話す姿に胸がキュッと締め付けられる。 「俺がボーッとしてたのが悪いんだけど…その…俺の見られちゃって……」 「うん。」 「本当は朝言いたかったんだけど…なんか言えなくて…でも黙ってるのもモヤモヤしてて……光生にしか見せないって言ったのに本当にごめんね……」 星くんからその話を聞いていることを知らない涼がこうやって正直に話してくれるのがすごく嬉しい。 「んーん、謝んないでよ。もしかしてずっと気にしてたの?」 「………光生が怒るかなって思って…」 「ふふっ、すっごい怒ってる!」 今にも目から溢れそうな涙を流させたくなくてわざとらしく怒ったふりをすれば少しホッとした顔を見せてくれる。遠慮がちにそっと俺の手を握る涼は下唇を噛み恥ずかしそうに見つめてくる。 「……ちょっとだけ光生と手繋いでてもいい?」 「あははっ!ちょっとだけなの?」 「だって…ずっと繋いでたらもっと光生に触りたくなっちゃうから……」 「ふふっ、なにそれ!好きなだけ触ってよ。」 繋がれた手をグイッと引っ張り引き寄せればすぐに手を離されてしまった。 「っ!学校だからだめ……」 こうやってすぐに照れるところもずっと変わらないでいてほしい。 「いいじゃん。周りに誰もいないんだし。あっ!ちょっとだけえっちなことしてみる?」 涼の太ももをスルっと撫でてみた手はギュッと握られ止められる。 「………また今度泊まりに行った時にする。」 だからそんなかわいい顔で言われると我慢するのが大変だと言っているのにあまり伝わっていないらしい。 「ふふっ、絶対だからね。」 無言で頷く涼にリンゴジュースを差し出せば照れながらも飲んでくれる。 「で、なんでトイレでボーッとしてたの?」 星くんの気持ちに気づいていない涼は見られたことに対してなにも気にしていないかもしれないけど俺は正直心配で落ち着かない。 「あっ…いやそれは…その…」 「なに?俺に言えないことでも考えてたの?」 俯いて言葉に詰まる涼にわざといじわるなことを言えば急に俺のことを見上げる。 「……光生のこと考えてたの!!」 「………え?」 なぜか怒ったらしく俺のことを睨みながら拗ねた顔をする。 「泊まりに行った時に光生が俺にいっぱい優しくするから頭から離れなくなっちゃったんじゃん!!」 大好きな人にそんな理由で理不尽に怒られている俺は幸せ者だ。 「だって涼のこと大好きだからしょうがないじゃん。」 「でもあの時の光生は溶けそうなくらい甘かったし……それに光生とひとつになれたのが嬉しくてずっと考えちゃう……」 「……ちょっとまって。俺のこと誘ってる?」 「っ!!誘ってない!!」 フンッと反対を向いてしまった涼はそのままご飯を食べだした。怒っている姿もやっぱりかわいくて大好きだ。 「あっ、リンゴジュースなくなっちゃう。涼がこっち向かないなら全部飲んじゃおっと。」 わざと聞こえるように言えば勢いよく振り向きジュースを奪われる。 「光生のうそつき!まだいっぱいあるじゃん!」 さらに怒ったらしい涼は目を合わせてくれなくなってしまったけど俺の機嫌はすっかり元通りになっていた。

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