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第149話
「椎名くん!バスケ部に遊びにきてよ!」
長い1日が終わり帰ろうとしたときいきなり教室に来た星くんはニコニコと笑いながら光生に話しかける。
「いや部活の邪魔になるし。」
なぜかあからさまに嫌そうにする光生はムスッとしている。
「私はさくらちゃんに来てほしい!!」
「あっ!夢ちゃんだ!」
俺の腕を組みニコッと笑いかける夢ちゃんを見て光生はさらに不機嫌な顔になっていく。
「今日顧問いなくて超自由なの!みんな自主練みたいな感じだからさくらちゃんと遊べるし来てくれたら私すっごい嬉しい!」
「無理。涼は今から俺と帰るの。夢なんかと遊んでくれるわけないじゃん。」
「もうっ!椎名が答えないでよ!さくらちゃんに言ってるんだから!」
またすぐに夢ちゃんに突っかかる光生を睨めば反省する様子もなくフンッと顔をそらされた。
「椎名くんってバスケめっちゃうまいんでしょ?すごい見たいんだけど!」
星くんは光生の肩をポンっと軽く叩くけど無反応どころか目も合わせない。
「光生がバスケしてるところ俺も見たい!」
「なんで涼も見たくなるの。」
「えー、だって絶対かっこいいじゃん!」
しょーこ先生も褒めてたくらいだからやっぱり上手なんだろう。でも見たいと言ったところでなぜかさっきから不機嫌だし嫌だって言われそうだ。
「……バスケしたら俺と一緒に帰ってくれる?」
俺の方を向いて拗ねた顔で聞く光生は人目を気にしていなさすぎる。ていうかいつも一緒に帰ってるのにそんなことでいいのだろうかと思いながらコクコクと何度も頷く。
「じゃあ約束して。絶対2人きりで一緒に帰ってその後俺の家に来るって。」
「わ、わかったから!約束!」
さらによくわからない条件をつけられ、しかもこの状況でそんなことを言う光生に俺だけが変に焦ってしまう。それでもこれ以上不機嫌にさせるわけにもいかずすぐに返事をする。
「よしっ、決定ね!椎名くん体育館で待ってるからすぐ来て!」
星くんはそう言い残しバスケ部の人達のところへ走って行った。
「椎名がバスケするところなんて久しぶりに見る!すっごい下手になってたりして!」
「久しぶりでも夢よりかは全然上手だしなんなら勉強も他のスポーツも全部夢に勝てるから。」
「はぁ!?超むかつく!さくらちゃん今の聞いた!?」
ここまでくると逆に仲が良いときがあるのだろうかと疑問に思う。今までを思い出しても言い合いしかしていない気がするけどなんだかそれが微笑ましい。
「ふふっ、光生も夢ちゃんもお互いに大好きなんだね!」
「………は?どこが?」
光生は俺のことを呆れた顔で見ている。それに夢ちゃんもわざとらしく嫌そうな顔をして俺にギュッと抱きついてきた。
「私は椎名よりさくらちゃんのほうが大好き!」
夢ちゃんはいつも俺のことを大好きだと言ってくれる。目が合い2人で笑いあっているとすぐに光生に引き剥がされてしまった。
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