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第151話 光生side
「星くんもここからシュートできるの!?2人ともすごい!」
そうやってかわいい顔を無意識に振りまきながら褒めたりするから星くんはまたさらに涼のことを好きになっていくんだと思う。
「まぁ、現役のバスケ部だし!これくらいは余裕だって!」
聞こえるようにそんなことを言う星くんはきっと俺のことを煽っている。
「ほら、さくらちゃんと夢ちゃんにボール当たると危ないから少し離れた場所に座ってて!」
それに無駄に優しさなんか見せていてイラッとくる。まぁでも実際に優しいんだろうけどなんかムカつく。
「椎名くん俺と勝負してよ!」
「そんな疲れることしない。」
涼たちに聞こえないように話しかけてくる星くんは絶対に本気で挑んでくるしなんだかめんどくさくて断ればさらに近づいてくる。
「さくらちゃん今日の朝のこと何か言ってた?」
「別に。」
またその話かなんて思って素っ気ない返事をすれば星くんはボールをクルクルと器用に回しながらつまらなさそうな顔をする。
「そっかー、俺の見て星くんのおっきいって顔赤くして照れてたから恋人の椎名くんに言ってるんだと思ってた!」
「…………今なんて言った?」
「ふふっ、さくらちゃんと付き合ってるんでしょ?最初は椎名くんの独占欲かと思ってたけど、さくらちゃん見てるとわかりやすくて!」
「いや、そっちの話じゃなくて星くんの見たってなに?」
涼のを見たことしか聞いてなかった俺はその話に続きがあったことに苛立ちを隠せない。確かにトイレから帰ってきたときに顔が赤かったし星くんが言う通り照れていたのかと思うとすごく悔しくなってくる。
「付き合ってることがバレるのよりそっちの話が気になるのが椎名くんらしいよね!」
「むしろ星くんには付き合ってること知られてたほうが俺としては好都合なんだけど?」
「あははっ!やっぱり椎名くんって嫉妬深くてさくらちゃんに対しての愛がすっごい重い!」
「そりゃ、俺の大好きな恋人だから。」
「俺のって強調するところも椎名くんらしいね!」
さっきから俺のことを挑発しまくる星くんはきっと涼の前ではこんな姿を見せていないのだろう。それがなんとも腹立つ。
「ねぇ、さくらちゃんってえっちのときいっつもあんなかわいい反応するの?」
「は?教えるわけないじゃん。」
今にもキレそうな俺は涼の前でそんなところを見せるわけにもいかず冷静になるように大きく深呼吸をした。
「ふふっ、そうだよね!椎名くんが答えてくれるわけないか!」
それでも苛立ちが収まらず星くんがクルクルと回していたボールを奪いシュートを決める。すぐに涼の方を見るとニコッと笑ってくれてそれだけで心が落ち着いていく。俺たちがこんな会話をしているとも知らず夢と楽しそうにしているところにホッとする。
「ふふっ、さくらちゃんのあんな嬉しそうな顔見たら勝負する気になった?椎名くんがバスケしてるところすごい見たがってたもんね!」
そう言ってボールを拾いに行った星くんは余裕そうにドリブルをしながら俺の目の前に立つ。
「俺とさくらちゃん一緒のゲームが好きなんだよね〜!」
「だからなに?」
「ふふっ、今度ゲームしよって家に誘ったら来てくれるかなって!俺の気持ち知らずに友達と思ってくれてるし警戒心全くないから!」
その瞬間プツンと何かが切れる音がした。わざと強めにボールを奪いシュートを決めるとすぐにまた星くんは同じようにシュートを決めた。
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