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第152話
星くんと光生は何か話していたかと思えば急に2人とも次々とシュートを決め出す。何か勝負でもしているのか段々と激しくなっていってる気がする。
「ふふっ、椎名があんなに本気出してるところ初めてみた!」
隣に座っている夢ちゃんはなんだか嬉しそうだ。
「そうなの?でも中学の時とか試合で本気出さない?」
「ん〜、椎名ほとんど試合出なかったから!」
「え?あんなに上手なのに?」
さっきからずっと見ているけどまだ1回もシュートを外していないしスピードだって星くんより速い気がする。それなのに試合に出ないなんて不思議で夢ちゃんに聞いてみると少し寂しそうな顔をした。
「誰よりも上手だったから入部してすぐに試合に出たんだけど部員とか先輩達に妬まれたりしたの、、しかも女の子の観客も歓声も尋常じゃないくらいすごかったから余計ね!」
光生は自分のことをあまり話さないからそんなことがあったなんて知らなかった。返事をできずにいると夢ちゃんはニコッと笑う。
「それで練習には来るけど試合に出なくなっちゃって、、まぁ椎名もめんどくさいって感じで全然気にしてなかったけどね!」
明るく教えてくれる夢ちゃんはきっと俺が気にしないように気をつかってくれている。それでもやっぱり光生のことになると気になってしまう。
「そうだったんだ、、俺バスケしてるところ見たいなんて言って無神経だったよね、、」
光生がバスケの話をしてるところを見たことないし本当は嫌だったのかななんて考えるとどんどん不安になっていく。
「ううん!そんなことない!椎名絶対嬉しかったと思うよ!」
夢ちゃんは何度も首を横に振ってくれる。その優しさにいつも救われていて今だってそうだ。
「椎名いっつもさくらちゃんの話してるよ!俺のことかっこいい、大好きって言ってくれるって!その時の顔さくらちゃんに見せてあげたいくらい幸せそうにしてるんだから!」
「光生そんなこと言ってたんだ、、」
「私、さくらちゃんが椎名と付き合ってくれてすっごく嬉しいの!中学の時の椎名ずっと楽しくなさそうでいつもつまらない顔してたから、、それが今では驚くくらい笑うようになったし私に嫉妬して怒るようになったし!」
嬉しそうにそんなことを話す夢ちゃんは優しくてなんだか温かい。いつのまにか俺の心は軽くなっていた。
「それに私もさくらちゃんと友達になれたし!嬉しいことだらけ!」
「俺も友達になれたのすっごい嬉しいし夢ちゃんにいっぱい助けられてる、、本当にありがとう、、」
「あははっ、そんな大袈裟な!」
俺の肩をバシバシ叩きながら大爆笑する夢ちゃんはこんなにかわいいのに力が強くて思わず吹き出してしまう。
「えー!なんでさくらちゃん笑うの!?」
「んふふっ、秘密!」
「なんでー!?教えてよー!!」
俺の体をグワングワンと揺らすところもお茶目でかわいくて大好きだ。
「てか、さっきから椎名シュート決めすぎじゃない?」
「それ俺も思った!どの角度からでも決めてるのかっこいいよね!」
「あー!!さくらちゃんが惚気てる!」
「ぇえ!?違うって!すごいなって褒めただけだって!」
夢ちゃんに必死に説明してもニヤニヤと笑うだけで絶対に信じてくれていない。
「うふふっ、かっこいいってハッキリ聞こえたもんねー!」
「もうっ!光生には内緒だからね!」
「どうしよっかなー!言っちゃおっかなー!」
楽しそうにはしゃぐ夢ちゃんはやっぱり俺のことを元気にする力があるらしい。もしいつか夢ちゃんが落ち込んでいる時があれば俺が少しでも力になれるといいなと強く思った。
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