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第207話 光生side

なんとかお風呂での誘惑に耐え部屋に戻りテレビを見ていると涼は突然ハッとする。 「光生!今日ホラー映画ある日だ!」 「そうなの?あっ、これ?」 チャンネルを変えれば丁度始まったとこだった。すぐに夢中でテレビを見る涼は無意識にまたくっついてくる。まだまだ続く涼の誘惑に深呼吸をしてできるだけ無心で映画を見ていれば、ふいに手が触れ俺はビクッと反応する。 「わっ!ごめん!光生もしかしてホラー映画苦手だった?」 いや俺はお風呂上がりの涼の近さに反応しただけでホラー映画なんてなんともない。ていうかお風呂上がりの涼がかわいくて直視できない。顔は少し赤いしなんかポカポカしていて湯気が出てるし何から何までかわいすぎる。 「んーん、大丈夫。涼が見たかったやつなんでしょ?ほら、続き見てていいよ。」 「でも、、」 俺がホラー映画を見ることが怖いと勘違いしているらしく心配そうに見つめてくる。 「………じゃあ手繋ぐ?」 首を傾げてそんなことを聞く涼は白くてスベスベな手を俺の方に伸ばしてくる。どうしよう、この状況で少しでも触れたら絶対にまずい。 「……うん、繋いでて。」 簡単に誘惑に負けてしまった。ギュッと痛いくらいに握ってくれる涼に笑いそうになるのを必死に我慢する。 「俺ゾンビゲームとかするからこういうの超得意なんだよ!いつでも光生のこと守ってあげられる!」 フフンッとドヤ顔なところなんてもうかわいすぎてため息しか出ない。 「ふふっ、じゃあ安心だ。すごい頼もしい。」 その言葉がよっぽど嬉しかったのかニコニコしている涼はさらにくっついてくる。 「あっ、光生目つぶって!今から絶対怖いよ!」 そう言って俺の目を両手で優しく覆ってくれる涼は言葉通り守ってくれているらしい。同じボディーソープを使ったはずなのに涼の匂いがフワッとしてきて俺は耐えるのに必死だ。 「光生もうちょっとこのまま待っててね!このシーンが終わったら手繋いでてあげるから!」 テレビを見ながら俺を守るのに大忙しな涼はそれから映画が終わるまでずっと手を繋いでくれていた。 「すごいおもしろかった!光生大丈夫だった?」 「うん、涼のおかげで大丈夫だったよ。ありがとう。」 またキラキラと顔を輝せる涼はそれからベットに入ると隣をポンポンと叩く。 「一緒に寝たら怖くないよね!光生が寝るまで起きててあげる!」 だからそれがやばいんだって。俺がさっきからどれだけ我慢しているのかいつも通り全く知らないらしい。隣に寝れば涼は丁寧に毛布をかけてくれる。 「部屋の電気暗くしても平気?まだ怖い?」 あんな子供騙しみたいな映画にどれだけ俺が怯えていると思っているんだ。素直で騙されやすい涼に、もはや心配になってくる。 「涼が隣にいたら大丈夫だよ。心配してくれてありがとね。」 「へへっ、よかった!じゃあくっついて寝よっか!」 いや、それはなにも良くない。部屋の電気を消すとピッタリとくっついてきて心地良く胸元をトントンと叩いてくれる。どうやら寝かしつけてくれているらしいけどこんな状況で俺が寝られると思っている涼が逆にすごい。 次第に遅くなっていく手の動きに、もしかしてと思って涼を見れば気持ちよさそうにスヤスヤと寝ている。 「ふふっ、なんで涼が先に寝てんの。」 「光生……危ないから…俺の後ろにいてね……」 どこまでも愛おしい涼はきっと夢の中でも俺のことを守ってくれているらしい。かわいい寝言は俺の宝物になる。 「はぁ、こんな勃ったまま寝れない。」 1人でするにしてもくっついて寝てるから動けないし涼にえろいことはしない約束だし。 「んっ………光生……」 俺にスリッとさらに寄ってくる涼はえろい声を出す。もうこれは触られても文句は言えない。少しだけなら許してくれるかと手を伸ばす。 「……光生のゾンビ………」 なんだその寝言は。触りかけていた俺の手はピタッと止まる。きっとゾンビと戦っている涼の夢の邪魔をするわけにもいかず結局俺は目を閉じひたすらに羊の数を数えた。

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