212 / 275

第212話

「夢と遊んだの楽しかった?」 「んふふっ、楽しかったよ!」 不機嫌に電話に出てくれた光生は第一声がそれなのかとつい笑ってしまう。でも嫉妬してくれている光生はやっぱりかわいい。 「なんでそんな嬉しそうなの。そんなに俺より夢のことが好き?」 不満そうなところも愛おしくて今すぐに会いたくなる。 「夢ちゃんも光生もどっちも大好きだよ!2人がいなかったから俺の高校生活絶対にこんなに楽しくなってなかったもん!」 「………またそうやってすぐ俺が許したくなるようなこと言うからずるい。」 光生は夢ちゃんのことが大好きだから本気では怒っていないみたいだ。 「それで夢と何して遊んだの?」 それだけは絶対に言えない。でもここで言わなかったらまた不機嫌になってしまう。 「えっと、、その、、ココア!ココアが夢ちゃん好きみたいで一緒に飲んだ!」 「なんでそんな焦ってんの。ていうか夢いっつもコーラばっかり飲むくせに涼の前ではかわいこぶってココア飲んでるんだよきっと。」 光生はいじわるなことを言って隠しているつもりなんだろうけど夢ちゃんへの愛がおもしろいほど伝わってくる。 「そういえばさっき夢ちゃん送って帰る途中に光生の家の前通ったよ!」 「は?なんでそのまま俺の家に寄らないの?」 なんでそんなことでまた怒るんだ。やっと機嫌が良くなったと思った瞬間にまた元通りになってしまった。 「だって突然行くのも迷惑だろうしそれに夜だったから、、」 「そんなこと全く関係ないし夢だけ涼のことひとりじめしてずるいじゃん。」 どこがずるいのかわからない。むしろ俺が夢ちゃんをひとりじめしていたと思う。それでもこうやって俺のことを求めてくれる光生に学校ではなく家で2人きりになりたくなる。 「光生……」 「ん?」 どれだけ怒っていても不機嫌でも名前を呼べば優しく返事をしてくれる光生が大好きだ。 「……光生の声聞いてたら会いたくなってきちゃった、、」 「………え?」 「ってごめん!今日学校で会ったばっかりなのに変だよねっ!昨日だって泊まって一緒に過ごしたのに!」 本当はできることなら1日中そばにいたい。いっぱい甘えたいしずっとくっついていたい。 「ふふっ、じゃあ俺も変だ。さっきからずっと同じこと思ってたから。」 だめだ。いつもの笑い方も優しさも全てが俺に向けられていると思うともっと欲しくなる。 「……光生……ちゅーしたい……」 電話越しにそんなことを言ってもできるわけないし光生を困らせるだけなのに気がつけばそんなことを言っていた。 「ふふっ、じゃあそのまま目閉じて。」 「え?今?」 なにもわからないまま言われた通りに目を閉じれば、ちゅっと光生のキスの音が聞こえた。こんなことをされると胸の奥がくすぐったくて苦しくなる。 「こうぅ………もう1回して……」 それなのに欲張りな俺はわがままが止まらない。 「いいよ。何回でもしてあげる。」 またすぐにスマホから聞こえる光生のキスは耳元でずっと響く。普通の人なら恥ずかしくてできないようなことでも光生は平気でするからすごい。 「光生ありがとう……大好き……」 それから俺が恥ずかしさに耐えられなくなるまで光生はキスをしてくれた。 「星くんの部活見に行くの終わる日いつ?」 「え?来週の金曜日かな?」 見に行くって言っても結局いつも夢ちゃんと話して終わるだけだけど。 「じゃあその日終わったら俺の家に泊まりに来てよ。」 「え!?いいの!?でもこんな頻繁に泊まりに行ってたら迷惑になるから、、」 絶対に行きたいけど昨日泊まったばかりなのにいいのだろうか。 「なるわけないでしょ。それにその日莉緒たちはまたばあちゃん家行くと思うし2人きりだよ。」 そんな2人きりなんて強調されるとなんだか意識してしまう。 「でも、、、」 「ねぇ、どうしよう。その日俺1人だからゾンビが来たら大変だ。涼が守ってくれるんじゃなかったの?」 泊まりに行きたいけど遠慮してなかなか返事をしない俺に気づいたのか光生はまた優しく気をつかってくれる。 「わかった、、光生がゾンビに襲われるといけないから泊まりに行く、、」 「ふふっ、ありがとう。」 そうだ。その日にプレゼントを渡そう。それに夢ちゃんがくれた下着も履けそうだったら履いて光生を喜ばせるんだ。そうとなれば今日からマイケル先生の動画でえっちなことを勉強しないとだ。

ともだちにシェアしよう!