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第237話
パッと目が覚めればまだ夜中でいつのまにか寝ていたらしい。何枚も俺に毛布がかかっていて横を見れば光生のほうには毛布1枚すらない。
「……俺に全部かけてくれたの?」
光生の手に触れると寝ているのにギュッと握ってくれる。隣には渡したプレゼントが置いてありラッピングの紙まで綺麗に折りたたんである。
「光生大好き……」
俺にかかっていた毛布を全部かけてその中に入りこめば光生は起きてしまった。
「あっ、、ごめんね、起こしちゃった、、」
「んーん、もっと近くきて。」
ゆっくりと首を横に振る光生は俺のことを引き寄せる。
「……涼あったかい……」
抱き枕のようにしがみつかれ光生はまたすぐに寝てしまった。光生の体温といつもの匂いにホッとしてそれからすぐに俺も寝てしまったらしく起きた時はお昼の12時だった。
「わっ!!すっごい寝てた!!」
光生にしがみついて寝ていたらしく先に起きていた光生はその体勢のままスマホでゲームをしていた。
「ふふっ、おはよ。よく眠れた?」
ぐっすりすぎるほど寝てしまったくらいだ。
「うん、、俺がしがみついてたから光生動けなかったでしょ?本当ごめん、、」
「ん?すっごい幸せだったから気にしなくていいのに。」
光生は昨日に続き今日も甘い。
「ふふっ、涼の寝癖かわいい。」
髪がはねているらしく指で触って楽しそうにしている光生の手をギュッと握る。
「……光生のセットしてない髪型もかっこいいよ、、」
少しボサボサなところもかっこよくて普段は見られないから特別感があっていい。ドサッと俺の方に倒れ込んでくる光生はそのまま動かない。
「………まだ時間あるし今日はずっとゴロゴロしてようよ。どうせ莉緒が帰ってきたら騒がしいし。」
だめだ、やっぱり好きすぎる。それから2人でベッドに寝たまま話していれば玄関のドアが開く音がした。
「あー!!涼くんの靴がある!!」
かわいらしい声が響いたと同時にドタドタと階段を上がってくる音がする。ベッドから飛び起きドアを開ければ莉緒ちゃんが抱きついてきてくれる。
「涼くんだー!!」
やっぱりかわいすぎて眩しい。少し伸びた髪は可愛く結んであってそれもまたかわいい。
「莉緒ちゃん久しぶりだね!元気だった?」
「うん!涼くんこっち来て!お庭でピクニックするの!」
「えー!なにそれ!すごい楽しそう!」
手をグイグイと引っ張る莉緒ちゃんの手はすぐさま光生によって離される。
「だめ。今日はピクニックしない。」
相変わらずな光生を睨めばまた悪びれる様子もなくツンとしている。
「莉緒とピクニックなんかしたら永遠におままごとに付き合わされるんだよ。それなんかより俺と昨日の続きしてたほうが楽しいでしょ?」
「っっ!!ちょっと!!」
よくそんなことを堂々と言えるなと本気で思ってしまう。
「あらあら、涼くん!騒がしくてごめんなさいね!」
光生のお母さんもいつも通り綺麗で優しい。
「あっ!お邪魔してます!」
「うふふっ!そんなかしこまらないで!もう涼くんはうちの家族だから!」
そんなことを言ってくれる光生のお母さんに昨日のお礼を伝えていれば莉緒ちゃんにリビングに連れていかれる。それからすぐにご飯を用意してくれたらしく広すぎる庭に莉緒ちゃんはレジャーシートを敷いている。
「ごめんなさいね、、莉緒ったら勝手にあんなことして、、どうしても涼くんとピクニックしたいみたいで、、」
申し訳なさそうに謝る光生のお母さんに全力で首を横に振る。
「いえ全然!むしろこんなにご馳走まで用意してもらって申し訳ないです、、」
ピクニックだからかホットドッグにサンドイッチにおいしそうなフルーツまである。
「あらそんなことは気にしなくていいのよ!むしろたくさん食べてくれたら嬉しいわ!」
そんな話をしている隣で光生は不満そうな顔をしている。
「母さんが帰ってくるの早すぎて涼と何もできなかったじゃん。」
いやいやいやなんてことを言ってるんだ。自分の親にそんなことを平気で言える光生はおかしくなってしまったのだろうか。
「あらそれはお母さんのせいじゃないわ!光生が奥手なのが悪いんじゃない?」
いやだからなんて会話をしてるんだ。完全に親子だななんてもはや関心してしまう。
「涼くんっ!!早くこっちに来て!」
莉緒ちゃんに呼ばれレジャーシートの上に座ると太陽があたりポカポカしていて気持ちいい。隣には不満そうに座る光生もいてなんて幸せな時間なんだ。
「涼くん一緒にこれ食べたい!」
おしゃれな紙皿にサンドイッチを乗せ俺の膝に座ってくる莉緒ちゃんにもうデレデレだ。
「うん!一緒に食べよう!」
あーんと食べさせてあげれば光生にそっくりな嬉しそうな顔で笑ってくれる。
「莉緒!そこ俺の特等席だからだめ。」
割と本気のトーンで怒っている光生にサンドイッチを近づければ一口で食べてくれる。
「んふふっ、光生はまた今度2人きりの時ね!」
莉緒ちゃんに聞こえないようにこっそりと言えばめずらしく素直に頷いてくれる。
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