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第238話
それから莉緒ちゃんと遊んでいたら疲れてしまったのかスヤスヤと俺の膝で眠っている。
「んふふっ、莉緒ちゃんって本当に光生にそっくりだよね!」
「どこが。俺はこんなにわがままでもないし強引にピクニックに誘ったりしないから。」
いや、俺が出会ってきた中で光生は1番強引だと思う。そんなことを言えばまた拗ねるから言わないけど。
「光生もひざまくらする?」
トントンと空いている方の膝を叩けば返事をするより早く頭を乗せてくる。
「んふふっ、早すぎるでしょ!」
甘えてくる光生はかわいい。髪を撫でれば目を閉じて気持ちよさそうにしている。
「あらあら、莉緒が邪魔しちゃってるわね!」
突然来た光生のお母さんは莉緒ちゃんを抱える。
「涼くんと遊べて嬉しかったのね!本当にいつもありがとう!」
光生をひざまくらしているこんな状況につっこまないことにびっくりしていると「うふふっ」と笑う。
「涼くん大変でしょ?こんな世話のかかる恋人が近くにいて!」
そう言って光生のことをチラッと見る顔は幸せそうだ。
「え!?あ、いや!!」
あたふたする俺を気にしない光生は不機嫌なのかスッとその場に立つ。
「トイレ行ってくる。」
何に怒っているのかムスッとした顔でトイレに行ってしまった。
「うふふっ、涼くんのこと莉緒に取られたうえに私ばっかり涼くんと話して邪魔しちゃったから拗ねちゃったのね!」
光生のお母さんはそれでもやっぱり嬉しそうにしている。
「光生ったら涼くんが泊まりに来るのすごく楽しみにしてたのよ!絶対に2人きりがいいから莉緒のこと早めに連れて行ってってお願いしてきたりなんかして!」
そんなこと一言も言ってなかった光生に愛おしくなる。
「それに今まではいつも部屋に閉じこもってたのに最近はリビングにいて涼くんの話たくさんしてくれるのよ!ゲームが得意でゾンビの映画が好きで夢ちゃんとよくコンビニのチキン食べてるって!」
そんなことまで言っていたのかとなんだか恥ずかしくなる。
「本当に涼くんの事が大好きなのね!って帰って来たわ!きっとまだ拗ねたままだから存分に甘やかしてあげて!」
ニコッと微笑む光生のお母さんは莉緒ちゃんを連れて戻って行った。
「光生!おかえり!」
本当に拗ねたままの光生に膝を叩くと嬉しそうに笑う。
「いいの?」
そんなにひざまくらが嬉しいのか頷けばゴロンッと幸せそうに寝転ぶ。頭を撫でてみれば片方の手を握られる。
「すっごい幸せ。もっと撫でて。」
光生は気持ちよさそうに目を閉じる。
「ねぇ涼、今度俺とデートして。」
脚にスリッと顔を擦り付ける光生のほっぺたをムニムニと触る。
「んふふっ、いいよ!」
光生とデートするなんて初めてだ。なんだかワクワクしてくる。
「涼はどっか行きたいところある?」
「え?俺は光生が行きたいところに行きたい!」
光生と出かけられるのならどこだっていい。
「じゃあ映画館行こ。それで涼と一緒にポップコーン食べる。」
「ぇえ!?すごい!俺昨日夢で光生と一緒に映画見ながらポップコーン食べたんだよ!」
そんな偶然に驚いていれば光生はおかしそうに笑うから不思議だ。
「え?なんか俺変なこと言った?」
「んーん、なにも。かわいいなって思っただけ。」
それから夢中で話していればあっという間に夕方になり光生は家まで送ってくれた。
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