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第242話 光生side

「じゃあその変態に触られて喜んでる涼はもっと変態だね。」 「最低っ!!俺は変態じゃないもんっ!!」 冗談で言ったつもりなのに怒らせてしまったらしい。素早く服を脱いだ涼は先にお風呂に入ってしまった。 「ふふっ、そんなに怒る?」 仕方なく自分で服を脱ぎ勝手に涼の頭を洗えば怒っているくせにされるがままでそんなところもかわいい。 「ありがとう!光生も洗ってあげるね!」 いつのまにか機嫌が直った涼は向かい合うように座ってくる。こんな間近で裸を見れば絶対に手を出してしまう俺は、そっと目を閉じる。 「この前も思ったけど涼は洗うの上手だね。気持ちよくて眠たくなってくる。」 涼に触られると落ち着くし気持ちが満たされる。目を閉じているからか本当に眠たくなってきた瞬間に唇に柔らかいものが触れる。パッと目を開ければ俺の大好きな照れた顔をする涼がいる。 「へへっ!光生にちゅーしちゃった!」 チラッと見上げるその顔はやっぱりかわいくて愛おしい。それからの涼はなぜだか甘えてきてめちゃくちゃに理性を保ってお風呂を上がった俺は自分自身をめちゃくちゃに褒める。部屋に戻れば雨の音が強くなっていて不安そうな涼の手を握る。 「光生ありがとう、、でも一緒の部屋にいたら大丈夫だから気にしないでね、、」 「ふふっ、俺がくっついてたいの。」 また遠慮する涼をベッドに寝かせ抱き枕のようにくっついてテレビを見る。 「ねぇ、俺と同じシャンプーとボディーソープなのになんでいつもの涼のいい匂いすんの?」 「え?なに?」 真剣にテレビを見ていた涼は聞いていなかったらしく俺の顔を不思議そうに見る。 「そんなにそのドラマおもしろい?」 涼はさっきから探偵もののドラマを見ていていつになく難しい顔をしている。 「うん!犯人絶対にあの女の人だよね!アリバイがありすぎて怪しいもん!」 ワクワクとした顔で言っているけど絶対に違う。流し見をしていた俺でさえ簡単にわかる。 「いや、あの男の人でしょ。最初に出てきたおじいちゃん。」 「ぇえ!?それは絶対にない!光生、ちゃんと見てないでしょ?」 自信満々なところがかわいすぎてどうしよう。このままテレビを消して触りまくりたい。ていうか涼にくっつきながらダラダラとテレビを見ているこの時間が幸せすぎる。 「ふふっ、見てたって。絶対あのおじいちゃんだよ。」 「だから絶対に違うって!じゃあもし光生が当たってたら何でもひとつだけお願い聞いてあげる!それくらい自信あるもんね!」 「今言ったからね。絶対に聞いてよ。約束だからね。」 絶対に自信のある俺は早速お願いを考えていればドンッといきなり雷の音がする。 「っ!!………光生っ……」 ビクッと体を揺らした涼はすぐさま俺の方に向き直し抱きついてくる。ドラマのことなんて一瞬で忘れていそうなところがかわいすぎてもっと雷が鳴ればいいのになんて思ってしまう俺は最低だ。 「ふふっ、大丈夫大丈夫。」 背中をさすっても顔を押し当て俺から離れない涼に顔が緩んでしまう。 「こうぅ………」 いや甘えていいとは言ったけどそんなにかわいすぎる声で名前を呼んでくれるとは聞いていない。ていうか近すぎるしめちゃくちゃいい匂いがする。こんなの意識しないなんて絶対無理だ。 「光生っ…手繋いでもいい…?」 これ以上ないくらい幸せな俺は涼を毛布で包み込み手を繋ぐ。雷がよっぽど苦手なのか黙ったまま俺から離れない姿が頭を抱えるレベルでかわいい。 「大丈夫?なんか飲み物持ってこよっか?」 「やだ……このままがいい……」 もう毎日雨が降って雷が鳴ればいい。明日は休校だし目の前には涼がいるしそんな幸せな俺に雷はもっと味方をしてくれるらしい。さっきよりも大きな音で鳴った雷はどこかに落ちたらしく部屋が真っ暗になる。 「あ、停電した。」 きっとすぐに戻るだろうし何の心配もないのに涼はそれどころではないみたいだ。首元に顔を当て必死に匂いを嗅いでくる涼がかわいすぎて耳にキスをすればすぐさま顔を上げる。 「光生……もっといっぱい耳にちゅーして……」 「ふふっ、耳にされるの好きなの?」 「うんっ……光生にされると安心する……それにちゅーされてたら雷の音聞こえないからっ……」 上目遣いでそんなことを言う涼に覆い被さり何度もキスをする。

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