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第255話

「……光生のばか。」 せっかくクレープの約束をしていたのに食べ終わると光生はすぐに帰っちゃったしなんか俺だけ期待していたみたいだ。今日は家に親もいないし頑張って誘おうと思っていたのに全くうまくいかない。 「……遥くんの家でやけ食いでもしよう、、」 もう光生なんて知らない。遥くんの家は歩いてすぐで中学の時はよく行っていたからなんだか懐かしい気分になる。ピンポンを押せばすぐにドアが開く。 「ふっ、なんか涼がご飯食べにくるの懐かしい。」 「俺も同じこと思ってた!高校生になって初めてだ!」 中学のころはほとんど毎日遊びに行っていたその場所は何も変わっていない。遥くんの家も共働きでよく2人で遊んでいた。 「お好み焼きでもいい?」 遥くんは料理が得意でいつも作ってくれる。 「うん!すっごい懐かしい!」 野菜をいっぱい食べられるからと遥くんのお母さんが遥くんと俺にいつの日か作り方を教えてくれたことを思い出す。 「ねぇ!遥くん!俺がひっくり返す!」 俺にだって得意なことはある。片面が焼けたお好み焼きをひっくり返せば遥くんはなつかしい顔で笑ってくれる。 「ふっ、相変わらず上手じゃん。」 上手だと言う言葉に光生を思い出す。きっと光生に見せればすごいねっていっぱい褒めてくれる。俺がすること全てに上手だねと必ず言って甘やかしてくれる光生が恋しい。 「高校はどう?楽しい?」 お皿にテキパキとお好み焼きを乗せていく遥くんはチラッと俺のことを見ながら聞いてくる。 「うん!超楽しい!友達になってくれる人みんな優しいし!」 「よかったじゃん。で、椎名くんとはただの友達?」 ニヤッと笑う遥くんは昔から俺のことになると鋭い。 「あ、、えっと、、付き合ってる、、」 遥くんは口が硬いし昔からの友達だから教えても大丈夫だろうけど男同士で付き合ってることを言うのはどんな反応をされるのかやっぱり少しだけ怖い。 「ふっ、そうだと思った。さっきすっごい嫉妬されてたもん。」 「え?嫉妬?誰が誰に?」 以外と驚かない遥くんは何の話をしているのか楽しそうに笑う。 「それにいろいろと勘違いしてるみたいだったし。」 だから一体何の話しだ。 「ていうか遥くんは?順調なの?」 「うん。いつも通りって感じ。」 遥くんは幼稚園からずっと好きな女の子がいて中学に入ってからその子と付き合っている。高校も同じところでいつでも仲が良い。 「まさか涼が男と付き合うとはね。しかも噂で聞く椎名くんとなんて。」 それから光生と出会った頃の話から現在に至るまでを永遠と聞いてくれる遥くんは昔から面倒見が良くてすごい。しばらくして家に帰りスマホを見ても光生からの着信もメッセージもない。 「光生……」 さっきまで一緒にいたのにもう会いたい。光生に触りたいしその何倍も触られたい。 「うぅ……だめだ…またしたくなってきちゃった…」 この前から俺は光生のことを考えるとムラムラしてしまう。昨日だって1人でしたのに今日もまた我慢できない。 「あっ……光生っ……」 光生に触ってもらうとすぐにイくのにやっぱり自分でするとどうしても時間がかかってしまう。 「んぅ……っ……はぁっ………」 クチュクチュと擦る音になんだか虚しくなる。 「…っ……………イくっ…!」 結局イけたけど全然気持ちよくないし気分もスッキリしない。 「今度はいつ2人きりになれるんだろ、、」 ベッドに寝転びただひたすらそんなことを考えながら天井を眺める。

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