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第272話 光生side
「はぁ〜、俺は最低だ。」
涼を家まで送ったあとまっすぐ家に帰ってきた俺はリビングのソファーに突っ伏せる。涼を悲しませるようなわがままを言ったあげく遥くんとの約束を断らせようとさせてしまったことを後悔しても遅い。
「俺のこと嫌いになってたらどうしよ。」
そんなことになればきっと生きていけない。明日もう一度謝ろう。
「…遥くんって涼のこと触ったりするよな、、」
モヤモヤとした頭では余計なことばかり考えてしまう。それにいつから俺はこんなに自分のことしか考えられなくなったのだろう。
「昨日幸せだったのに。」
あんなにえろい姿を俺だけに見せてくれたことが何より嬉しかった。俺に抱きついて気持ちよさそうに寝てる涼が愛おしすぎて寝るのがもったいなくてずっと起きていたなんて本人には言えない。昨日撮った寝顔の写真では足りないくらいに今すぐに会いたい。
「眠たいのに全然寝れない。」
莉緒も母さんもいなくて静かなはずなのに寝れない。おなかもすかないしテレビを見ても何もおもしろくない。特にすることもなくスマホでボーッと動画を見ていれば画面は涼の着信に変わる。
「もしもし?どうしたの?」
まだ夕方だし遥くんと一緒にいるはずなのに何かあったのだろうかと慌てて電話に出る。
「あ、、いや、どうもしてないんだけど、、」
少し気まずそうに話す涼に何か悪いことでも言われるのではないかと心臓はドクドクと動く。
「……あの、、光生に会いたくなって、、」
「……え?」
頭の中で繰り返されるその言葉をうまく理解できない。
「……今から光生の家に行ってもいい?」
なんで涼はこんなにも俺のことを簡単に満たしてくれるのだろう。
「うん。俺もすごい会いたい。」
会えばきっとまた気持ちが溢れて涼を困らせてしまう。それでもいいと自分勝手に思うほどもう我慢はできない。
「今どこにいるの?外暗いし迎えに行く。」
「え?大丈夫だよ!もう近くの公園だしすぐに着くから!」
まさか俺の家に向かいながら電話をしてくれていたのだろうか。
「あっ!光生!」
公園の方へ向かっていれば手を振る涼は走ってくる。さっきまで会っていたのにその姿を見れば気持ちは抑えられない。
「光生は家で待っててくれてよかったのに!」
唇を尖らせ拗ねる涼を気づいた時には抱きしめていた。
「わっ、、光生!ここ外だよ!」
涼はそんなことを言いながら無理に離れようとしない。そんな優しさにまた大好きになってしまう。
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