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第2話

その家に来たのは調査のためだ。 ホラー特集の調査のためだった。 ネットで怖い話をあつめて公開している、わりと人気の動画をオレは配信している。 中でも体験ホラー動画は大人気だ。 心霊スポットを訪ねてそこで一晩すごしたりする動画はたまに信じられないハプニングがおこり、それがまた人気になる。 オレが動画を撮ると何かがおこるのだ。 まあ、何かが写ったり、モノが動いたりぐらいなもので、オレは気にしていなかった。 「オレにはこいつらは何もできない」 そういう自信があったからだ。 連中は恐怖を原動力にする、と知っていたからだ。 霊なんだか何なんだか知らないが、身体を持たない連中は人間に何かするためにはそこにいる人間の中にあるものを利用するしかない、とオレは知っていた。 「お前はなにも信じてない。だからお前は大丈夫」 オレの田舎のそういう人だった婆ちゃんがオレにそう言った。 村の宗教的な指導者だった。 「だからこそ、おまえはそういものに近付いてはいけない。自分から近づかないかぎり、彼らはお前に何もできない」 婆ちゃんはそう言って、オレを村から出ていくように言った。 村にももう関わるな、と。 変な話だ。 何もできないんだったら近づいたところで問題ないだろ。 都会では恐怖が売り物になることを知った時、自分が安全であることには自信があるオレは、全く迷わなかった。 実際どんな凄いと言われている場所に行っても、オレにはなにもおこらなかった。 なにが起こってもオレは傷付けられることはない。 でも何は起こるし、映る。 オレの動画は大人気になった。 今はこれで食べている。 そして、何度も何度も住む人が行方不明になったというこの田舎の屋敷に動画撮りにやってきて・・・ そして、今までにないパターンが始まったのだった。 そう、この日もいつも通り、カメラをセットする。 中継はしない。 ヤバいモノが映ることがあるので。 ヤバいモノを編集して、消去してから配信している。 殺人現場の再現シーンとかヤバいからね。 そうオレに限ってはこわいモノを捏造するのではなく、安心してみえる程度に変種しているのだ。 オレの隣りで男が女を馬乗りになって刺してる映像とか使えないでしょ。 違反報告されちゃう。 オレにはカメラの映像を見るまで見えてないんだけどね。 この日もカメラにむかって話しかけながら夜をまっていた。 何かしらが起こってそれを写して家に帰って編集して、配信して終わり、なはずだった。 日が暮れて。 持ってきたライトをつけて、持ってきた飯でも食べようとした時だった。 首筋に暖かい息をかんじた。 こんな気配感じたことがなかった。 でも大丈夫。 こいつらはオレを傷付けられない。 それは分かっていた。 それは傷付けたりはしなかった。 ただ服の上からなでられただけ。 胸を。 デカい手だとわかった。 Tシャツの上から胸を撫でられ、思わずからだが固まった。 触ってきた奴はいなかったからだ。 振り払おうとしても、実体のない手を振り払うことなどできなくて。 だんだん身体が動かなくなって。 でも、感覚だけは鋭敏になって。 シャツの上を這い回る手の熱さと執拗さに怯えて。 その指がシャツの上から乳首を的確に見つけ出して、何度も何度なぞられる度に、何かおかしな気分になってきて。 「お前はオレに何もできない!!」 そうさけんだら、いなくなるはずなのにソレはいなくならなくて。 耳もとで低く笑われて。 身動きできないからだを押し倒された。 そして、Tシャツをまくりあげられ、直接何度も何度も指で乳首の輪郭をなぞられた。 胸の肉を揉みしだかれた。 それを繰り返されている内に、何故か吐息が出てきて。 熱い濡れた見えない舌でゆっくり舐め回される頃には、ピクンピクンと身体が震えるまでになっていた。 「ああっ・・・」 声が出てしまったなら。 もう。 そこで感じることを止めることはできなかったのだ・・・。

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