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第7話
浮かび上がったものをかき消すように部屋のドアを叩く。いつもは窓を壊すがそれさえ億劫だ。
「え、こわ。なんなん「あがる。」
変態の言葉を遮り、中へ入る。急いできたからか息切れが止まらない。
「玄関から来るし、焦ってるし。なんか面白いことあったか?」
目を輝かせる変態を横目で睨めば、きゃっ!とキモい声を出し始めた。嘔気が止まらない。
「ひとつ調べ事を頼みたい。」
「なんだよ、委員長からの頼み?」
「違う。俺の頼み。」
俺個人がこいつに頼みごとをするのは初めてで、それを知っているこいつも目を丸くした。
「ある奴のことを調べて貰いたい。もちろんタダとは言わない。金でもなんでも差し出す。」
「うーん、よくわからないけどなんか面白そうだな。いいよ。調べてあげる。」
にたりと笑う変態。キモいという感情を全力で込め、変態を見るが勿論意にも返さない。さすが変態の中のエリート。変態オブ変態。
「依頼内容なんだが、転校生に引っ付いてる不良わかるか?いつもマスクと帽子付けてる奴。」
「あー、あいつね。転校生来る前は一匹狼とか言われてた奴か。そもそもあいつも転校生なんだよな。…そいつとなんかあるの?」
「多分お前なら調べたらわかるよ。だけど絶対貞臣さんには言わないでくれ。」
頼む、と頭を下げる。変態は何故か嬉しそうな顔をしてみている。
「なにそれ、元カレとか美味しいやつ…?委員長にはバレたくないとかそんな大好物…ぐふっっ」
なにやらぶつぶつ言っている変態にチョップをかますと変な声出して動きを止める。
「時間ないんだからお前の条件言え。」
「それならもう決まってるよ!」
にたりと笑う変態に、嫌な汗が流れる。
「委員長にちゅーしてよ!」
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