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第10話

「庄司春紀、高校3年。高校二年の冬にここへ転入してきたようだな。転入出来るだけあって学歴はトップクラス。しかも前の学校も金持ちの名門校。家は某車会社を経営している。顔はこの学校に来てからひた隠しにしていて見たものは殆どいない。」 1週間足らずで調べ上げた情報を変態盗撮魔は話していく。 「だが、お前は違うと?」 その言葉に変態はにたりと笑う。気持ち悪いが今日はなんだか好感が持てるのはコイツの情報屋として信頼しているからに他ならないだろう。 「当たり前。これが写真。…とそれをみてもらう前に、こいつの裏の顔について。」 「ああ。」 「風紀委員長の番犬様の想像通り。サルビナの族長だった。族長時代の名前はシュン。」 心構えをしていたとはいえ、胸にはずしりと重さが募る。脳の奥深くに沈めた記憶が疼きだして俺は吐き気を抑えるのに必死だった。 「まあ"だった"とは言え、今の族長はシュンの直属の部下だったし今でもかなりの実権は握ってるらしいよ。…おい、顔が真っ青だぞ。大丈夫か?」 「…なんで辞めたんだ?そしてなんでここに。」 俺の性急な問いに変態は顔を歪める。多分俺にとって不利益な情報なのだろう。 「将来のため。表向きはそんな綺麗事を言っているが、誰かを探すために族をやめてそいつを追ってるらしい。そしてこの学校に来たということは、見つけたという事なのだろう。」 「…そうか。わかった。色々悪い、助かるよ。」 俺の素直な言葉に変態は呆気にとられた後、顔をぎこちなく笑わせた。俺は笑顔になる体力もない。 「委員長に言わなくていいのか?」 「…あの人にはいいたくない。知られたくないし、心配もかけたくない。」 「でも…」 「あの人は今までのヤツとは違う。ずっと俺を裏切らないでくれた。あの人だけには、」 どうしても嫌われたくない。 その言葉は声に出さず飲み込んだ。 俺は貰った写真を乱雑にポケットに突っ込み、変態の部屋を後にした。

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