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第14話

「案外早かったな。もっと俺と関わるの渋ると思ってた。」 放課後、シュンが1人になるのを見計らい俺は声をかけた。しかしシュンの言い草だと俺が声を掛けやすいようにあえて1人になったのだろう。 「できることなら関わりたくなかったよ。」 睨みながら告げればシュンは嘲笑する。 「はは。久しぶりなのに、そんな固い表情すんなって。俺はお前とこうして話せて嬉しいのに。」 マスクと帽子を取ったシュンは、金色の髪を解す。誰もが二度見するような凛々しい顔面なのに、俺は恐怖と憎悪しか湧かない。こんなにも自分の中に蟠りが残っていたことに驚いていた。 「長話する気は無いから。単刀直入に聞くけど、ここに転校してきた目的はなんだよ?」 「タカヤにただ会いたかった、それだけ。」 俺の質問に即座答えるシュン。 シュンの考えていることがわからなくて、俺は計るように顔を歪める。 「用はなんだ?裏切った人間に会いに来る理由ってなんだよ。」 「裏切ってねえよ。愛だよ、愛。」 「愛?は?」 俺の暗い声とは対照的にシュンは柔らかい声色で答える。 「お前が愛しくて愛しくてたまらないから裏切ったフリしたんだよ。お前を深くまで落として、他の奴らに救いを求めても裏切られて、誰も信用できなくなるくらいの孤独を味あわせて、そうして俺だけしか見えなくする。」 「まさか、今までの奴らのも…」 「そうだ。俺がやらせた。脅せば一発だったよ、あいつら。そうしてじっくりお前を手に入れる予定だった。…予定だったのになあ。」 光悦した表情で狂人のように話していたシュンが、最後だけ顔を歪める。俺にはその全てが怖くて、気味が悪くて身をよじった。 「忌々しい貞臣の野郎が邪魔しやがった。俺がお前を孤独から救う予定だったのに。ほんっとにアイツはいつも目障りだ。」 「なんで、そんな、俺に…」 貞臣さんに怒りが向いてるシュンをどうにか変えたくて声を発する。しかし恐怖でまともに声が出ない。 「理由か?…そうだなあ、目かな。会った時に絶望の中にも光るお前の目が好きだ。無性に惹かれた。…でも結局は全部愛しい。お前の全部が欲しいほどには。」 「……っ。」 シュンに一気に距離を詰められ、腕を握られる。その強い力に顔が歪む。その表情にシュンは征服感を覚えるのか嬉しそうに笑っていた。 「俺、お前を手に入れるためなら手段は選ばねぇよ。お前が貞臣を選ぶなら何があってもアイツを殺す。…この言葉の重さ、お前ならわかるよな?」 「……ああ。」 シュンの異常性がわかっている俺には、その言葉はしっかりとした重みがつきまとう。 「じゃあ、いい返事期待してるから。」 シュンは笑顔でその場を去っていく。俺は重力に繋がれたようにその場から動けなかった。

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