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第16話
とある風紀委員side
冷たい。
痛い。
帰りたい。
怖い。
どの言葉も当てはまるくらいには風紀委員室の空気は最悪だった。
極寒の南極の氷山の頂上みたいな。もうそんな気分だ。
それは何故かというと委員長机の上に置かれていた1通の手紙が問題であった。
そこには
暫く風紀委員の仕事には参加できない。
また任期が終わり次第委員を辞するつもりだという旨の手紙が置かれていたからだ。
風紀委員は他の委員会と違い特殊であり、人数制限はない。また入るのも出るのも割りかし自由である。
特に委員長は来るもの拒まず、去るもの追わずをモットーにしている為干渉しない。
しかしそれには例外がある。
あくまで一般風紀委員については。である。
もちろん風紀委員長の犬と言われている、たかみーに関しては例外中の例外。
そして皆さんお察しの通りこの張り詰めた空気を作った張本人、手紙の主こそたかみーなのである。
そして忘れていたが手紙にはもう一文。貞臣さんをもう信じていないとかなんとか書かれていたらしい。それを読んだ委員長はこの世のものとは思えないくらい悍ましい顔をしていた。
「お前が寝ている間に置いていったのか。よく気が付かなかったな。」
「なに?俺が無能で能天気って言いたいわけぇ?副委員長さん?」
「べつに」
(ひイイイイイイ。)
副委員長が火に油を注ぐような行為をしたことにより風紀委員室は爆心地と化している。いま何をしても委員長の逆鱗に触れる気がする。
「俺はこれからさ可愛い番犬を迎えに行こうと思うんだけど、それにちょっと時間がかかりそうなんだ。それまでお前達はいい子で待っていられるよね?」
その笑顔は美しく聖母のような微笑みだったが、それに見惚れるものは居らず、みな一様に首を縦に振るだけだった。
それをみるなり委員長は微笑みを深める。
「よかった。さすが俺の自慢の風紀委員だよね。じゃあ、副委員長後は頼んだよ。」
「…はい。」
そして委員長は去り、この場所の安寧は戻ってくるのだった。
(委員長の愛重すぎないか。すごいなたかみー)
あんな劇重、殺傷能力限界突破な愛を受けて生きていられるってやっぱりたかみーは只者ではないと思う。
ああ頼むから一刻も早くたかみー帰ってきて…
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