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第3話

「食い下がるね…河合さん。 試すも何も、女の子は恋愛対象じゃないからさ、悪いんだけど。 そろそろ行かないと。それに試せないよ?俺そっちじゃないからさ。河合さんと同じ側。河合さん、何もついてないでしょ?ココ。」 と河合さんの股間を指さして言ってやる。最低な奴と思われたって構わない。もういい加減、諦めて欲しい。 「当たり前じゃん、付いてたら男だよ。」 「そうだよ?だからさ無理って話でしょ?…俺も使わないしさ。」 それでも諦めない彼女は更に食い下がる。 「だから!女の子とやったら使うかも知れないじゃん?」 んな無茶なこと…!開いた口が塞がらないとはこの事だと思った。その発言にはもう、驚きしかない。 「ええ!!そんな事言っちゃうの、ええ?」 と最大限の非難をこめて大袈裟に嘆いてみると、とうとう河合さんが泣き出した。 「ええ、あれ、どうした?何で泣いてる? な、泣くの?ちょっ、泣かないで!ねぇ、いやいや、ごめんごめん、誂い過ぎたけど、でもホントのことだからさ?」 それでも泣き止むつもりの無い彼女はしくしく泣きながら俯いて、それから控えめに一歩ちかづいて、俺の胸に額を預けてきた。何か、上手いな、自然に相手の懐に入ってきてる。うっかり絆されそう…この手、使えるかも。今度先輩が意地悪なときに使ってやろうか。等と頭では全く別なことを考えながら取り敢えず、河合さんに謝る。 「あぁぁ、…………ごめん」 胸に預けた額から、微妙に体重が加わって来て、重い。って言うか、オデコに完全に体重かけてるよね?段々足だけで河合さんを支えるのが辛くなって彼女の腕を支えてみる。さっきよりはマシかな… がそれと同時にさっきよりも激しく泣き始めたので、慌てて背中腕を回して擦ってしまった。 「おい!和輝、何やってるの?俺、図書室のところで待ってたんだけど?」 丁度、そのタイミングで、待ちきれなくなった、先輩が学食まで探しに来た。でも、助かった!と安堵したのも束の間だった。 「あ?先輩!」 と喜ぶ俺に、先輩がキレている。 「先輩!じゃねえよ。何で女と抱き合ってんの?」 ええ!そこ怒るの?助けてくれないの?と情けない気持ちになって、しどろもどろになりながら、答えたのだ。 「え?いや、それはその…色々あって?」 「何で質問形?俺が聞いてんだよ! 色々って何?それにお前も何?他人の男に抱きついてんじゃねーよ。あっち行けよ。」 うわー、先輩キレてるな。キレキレだな(笑)笑うとこじゃないな…しかも、あんな言い方しちゃって…。先輩に酷い扱いを受けて、河合さんは泣きながら学食を後にした。走っていく後ろ姿が、熊っぽくて申し訳ないが笑ってしまう。 「あぁあ、泣きながら行っちゃった?女の子に対して酷くない?」 「はぁ?女だから何?人のモノに手ぇ出して良いわけ?て言うかさ、お前だって自分の事、棚に上げてんじゃねえよ。何抱き合って背中擦ってんの?」 「ごめんね…でも女の子だし!問題ないでしょ?」 とまぁ当然とばかりに反論してみるけれど、 「何が問題ないでしょ?だよ、女と抱き合ってんじゃねえよ?」 怒りが収まらない先輩が怖い。今日、何か怒られてばっかだな。はぁー疲れた。でも、今のは聞き捨てならないよ。俺の言う事聞かないで、何か一方的に言いたい事言って。今度こそもう限界。 「いやいや、女の子だよ?問題無いじゃん!えっ?じゃあ男だったら良かった?そっちの方が先輩にとっては大問題じゃないの?」

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