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第2話

 河合さんのキレ方が半端ない。 これ、明らかに怒ってる。うーんどうしたものか……考えたけどよくわからないしな。考えても仕方ない。 「いや、言い方がすでに怒ってるよね?俺、なんか言った?言いたい事でもあるの?」 と粘り強く聞いてみる。 「言いたくない。」 うーん、でも何か言いたそう。 「どうした?何かあるなら言ってよ?」 「言 い た く な い!!」 はぁ、完全にキレてる。何なんだろうな。勘弁して欲しい。長居しない方がいいなと感じて、荷物をまとめながら、河合さんに告げる。 「うーん、じゃあ俺もう行って良いかな?先輩と待ち合わせてしてるんだよ。」 それなのに河合さん、すっごい怒った顔して、強い口調で引き止める。 「なんでよ!まだ話ししてる途中じゃん!」 全く理解できない。話したくないくせに、話してる途中って何なのさ? 「えっ?でも話したくないんだよね?」 普段、滅多な事じゃ怒らない俺たけど、そろそろ限界だよ? 「だからそうじゃなくて!」 全く要領を得ないのだ。話す言葉に溜息が混じる。 「何が?ねぇ、言いたいことあるなら、言っていいよ。出来る事ならなんとかするし。」 そう言って歩み寄っても、河合さんは頑なだ。 「やだ、言いたくない。」 こうなったらどうしようもないよね。もう時間切れ。河合さんに構わず残りの荷物を片付けながら言った。 「うーん、困ったね…でも本当にゴメンだけど、俺もう行かないと。先輩ヤキモチ焼きなんだよね。時間にも厳しいし。怒られちゃうんだよ。先輩怒らせると、後が面倒だからさ…ねちっこいって言うか、しつこいって言うか…」 しつこいくらい意地悪く攻めたてる先輩の熱い視線を思い出したりして、身体が熱くなる。変な方向に気持ちが行って、先輩のそんなところも悪くないんだよな…とデレ始めた俺を他所に、河合さんが呟いた。 「ねぇ何で分からないの?」 ……思考停止…… 「ねぇ、何で?」 更にもう一度問われるけれど、……ええと…何が?と思っただけで言葉にならない。河合さんの圧が、やっぱり怖すぎる。俺なんかやらかしたか?どんな流れでこうなった?会話を反芻してみるけれど、思い当たる節がない。遠慮がちに 「何だっけ?」 と、ヘラっと笑って聞いてみた。 「言いたくないの。でも分かってよ。松井君のこと私……う~~、やっぱり言えない!!!」 ええ!それってもしかして? 「んん?それって?え?何?もしかして好き…とか?」 すると河合さん、相変わらずキレてて、叫ぶように言ったんだ。 「言いたくないって言ってるでしょ!」 吃驚した。まぁ、でもそういう事なのね、って前提で話し始める。 「あぁ、でも、俺付き合ってる人いるからさ?」 気持ちが伝わって少し落ち着いたのか、河合さんが小さな声で話し始めた。 「そんなの知ってる。いっつも一緒にいるんだもん。でも、何で?私じゃだめ?」 結構強引。今まで全く恋愛感情を持った事ない相手に、私じゃだめかと問われても、全くコメントのしようがない。そもそも大事な問題をすっ飛ばしてる。 「だめって聞かれてもね?ええと…第一性別が違うし?」 「性別?性別なら合ってるでしょ?て言うか、性別そんなに大事?」 「いやいや、性別合ってないってば。それに、性別大事だよ?知ってるでしょ。俺ゲイたよ?」 「でも試してみないと分からないじゃん!」 そんな!乱暴過ぎやしないか?その考え方!

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