俺にとってセックスはスポーツみたいなモノだ。全力でダッシュするみたいに、二人で全てを発散させる。快感の追求は、100ｍ走でコンマ何秒を必死になって縮めるのに似ているかもしれない。 だから、セックスの途中で愛してるなんて言ったことはないし、言われたいとも思っていない。何故なら、その時間は全力だから。だいたい、愛してるなんて言葉、本気じゃなきゃ意味がない。その場のノリで言ってるなら、ただの音でしかない。 　女友達と話してると雰囲気大事！とか、愛してるって言ってほしいとか、一人でイクなとか、男のセックスに対する姿勢に非難がものすごいんだけど、そんな余計な事考えながらしてるなんて、女の子って結構余裕あるんだな。 　でもさ、気持ちよくしてもらおうとか、大切に扱ってとか、受け取ることばかり考えてるんじゃないかなって思う。 こういう話聞く度に、自分から与えてみたら何か変わるかもよ？って思うんだよね。 　大体、セックスなんて、始めてしまえば気持ちよくなるためにやってるんじゃないのって…思ってるんだけど…それは言い過ぎ？ でももし、男が自分勝手にしてるって感じるんだったら、私まだイッてないとか、そこじゃなくてこっちよ、とかちゃんと主張すればいい。 　愛がなくてもセックスするのかと誤解を招きそうだから言っておくけど、先輩の事はもちろん好きだ。大好きだ！愛って言うとよく分からないけど、ホントに特別な人。そうじゃ無ければ俺の身体を好きにさせたりしないよね。 　今は一緒に住んでるけど、それまでは毎晩寝るまでLINE で話してたり、帰りに待ち合わせして晩飯食べに行ったり、休みの日にデートしたり…。そういう時って、この人の事、好きだなとか、可愛いなとか、何をやっててもそんな事しか考えていない。 　だからさ、だからそこが大事なわけ、俺としては！そういう気持ちの上にある行為だからお互い許せるんじゃないの？って言うか、行為中の嫌なところだけ取り上げて相手の事否定しないで欲しいって言うか？…… 　はぁ…………脳内で熱く語りすぎた。誰に語ってんだ？俺は…。うーむ、眠すぎ。気を紛らわそうと思ったけど、まだ眠いな。眠すぎて、普段どうでもいい事で熱くなってるわ…。 　はぁ、後30分か…。寝そう。でもこの人、そういう所を案外見てるらしいから、気が抜けないんだよ。 　全くなぁ、この講義、教授の声が通らないし、滑舌悪いし…マイクの位置も悪いんじゃないかな？音が入ったり入らなかったりだ。 　初めっから眠かったから話し聞いてなかったけど、へぇ、美しいものは輝いている…か。美しい人も輝いています！上白石萌音さんは輝いているでしょう？って、え？このセンセ、上白石萌音のファンなんだな。ま、カワイイけと…輝いているって言う程か？いや、俺は広瀬すずの方がいいと思うけどな。ま、どうでもいいんだけど。 ああ～でも、何かちょっと目が覚めた。 あっ、先輩からLINEだ。なんだ？このスタンプ。ウケる。 良いな、2限目と午後休講になったんだ。 天気いいし先輩と何処か行きたいな。午後バックレっかな。 なんか、海とか行きてー。夏に一緒に行った時、先輩がカッコよすぎてヤバかったんだよな。運動部でもないくせに鍛えてて、程よく筋肉質で、好きなんだよな…。ああ～何か、触りたくなってきた。先輩に会いてぇな。 『先輩、昼一緒に食べよ、んで、その後出かけない？』 『良いな。じゃ、学食で待ってるわ。』 『うん、後でね。』 『あれ、今授業中じゃねえの？午後は？』 『そだよ。午後もあるけど。』 『そだよじゃなくて！真面目に受けとけよ。』 『ムリムリ、今加藤さんだもん。』 『加藤さんだもんじゃなくて！』 『先輩、案外真面目だね笑』 『後で困るのお前だから良いけど』 『いやいや大丈夫でしよヤベめがあっちったあとでぐくしよかで）』 『？？和輝？どした？ヤバそうだな（笑）誤字ウケる。学食で待ってるから来いよ』 うー焦った。ラインしながらニヤけてたわ。加藤さん、めちゃくちゃ見てたな。 まだ、上白石萌音の話ししてるよ。今日は後半全部輝いてるモノの話かよ。レポートに必要かな…一応メモしとくか…。やっば、眠いな。 ………………、 ………………？ ………………、 ………………。 ………………あれ？寝てた。 ………………お…そろそろ終齢なるな。 ─────おしまい────