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梅本先輩。2

 もう、とっとと吐けば良いのにね。これじゃぁ、浮気してますって言ってるようなもじゃないか。先輩の目が泳いでる。笑っちゃうくらい情けない顔。でもカワイイくて意地悪したくなる。しょうがないな、とどめを刺すか…。 「イイ人でも見つかった?先輩。」 「……………」 こりゃ図星だな。 「どんな人?男?女?」 「……………」 言い訳を考えている顔。必死に誤魔化そうとしてるんだ。そんな顔、見せないで欲しいんだけどな。 「もうしたの?」 「……………」 したのかよ…。まぁそうだろうな。駆け引きとか苦手だから、会ったその日にしちゃってそうだ。 「どうするの?これから。その人に乗り替える?」 「あ、いや、遊びだから…」 「遊びの割には入り浸ってんじゃん?」 「っ……それは…、かわいかったんだよ。」 女子かな…? 「ふぅん、かわいかったんだ。で、どこで知り合ったの?」 「……えーっと、先月のサークルの飲み会。」 「また知らないサークルに潜り込んだんだ?」 「そうじゃない。写真部の!ちゃんと所属してます!」 威張るところじゃないけどね。 「で、新入部員が酔っ払ってて放っておけなかったとか?」 「……いや、まぁそんなとこ…かな?」 …かな?じゃねえよ。前科あるし。って俺は酔っ払ってなかったし、酔ってたのは先輩だったけど。 「それで送ってってそういう事になった訳ね… で相手は知ってんの、俺と付き合ってるって事。」 「和輝だとは言ってないけど、付き合ってる人がいるとは言った」 へぇ、意外。正直に話すんだね。 「じゃ何でこう言う流れになるかね?」 ホントに不思議。恋人いるって言いながら浮気する人とそれ知りなら関係持つ人。俺には理解できないよ。 「あ、えーっと、まぁそれは……ほら、辛いもの食べると甘いもの食べたくなるじゃん?そんな感じかな。」 何だよその例え!俺はおやつなの? 「へぇ、俺は辛いものなんだ。で、そいつは甘いの?ふーん。興味深い話だね。どの辺がそんなに甘いのかな?」 再び長い沈黙。すっかり黙ってしまって、目線も下がりっぱなしになってしまったから、もう何も言わないのかなって思って、次の言葉を探し始めたところで先輩が遠慮がちに口を開いた。 「愛してるって言ってくれるんだよ。」 んん?なんだっけそれ。どこかで聞いた事があるフレーズ。 あっ、それ!こないだ脳内で力説してたヤツだ!そんなのいらないって、それが俺の主張だったのにな。それ、間違ってたって事?先輩には必要だったわけ? 意外だな。俺には言ってくれたことなかったから、そう言うのいらないタイプだと思い込んでたんだ。先輩も甘いこと囁きながらしたかっただなんて…。いや、違うか。それって俺が言うべきだったって事かな。俺が言うのを先輩は待ってたの? 「何?エッチの時に愛してるって言ってくれんの?」 「うん、そうなんだよ。なんか新鮮で…」 おいおいそこで、頬を赤らめるなよ!こっちが恥ずかしくなる…。 「へぇ。先輩、そういうのが好きなんだね…」 …って言うか、何でもかんでも正直に全部喋り過ぎなんだよ、先輩。大好きな人だけど、たまに馬鹿なんじゃないかなって思う。それか、俺のこと、オカンと勘違いしてんじゃないのって。まぁ、親にこんな話し、しないだろうけど。こんなにぶっちゃけてくれなくていいのにさ。本当は、全く聞きたくないんだから。 はぁ、今日の玉ねぎ、強烈だな。まだ目が痛くて涙が出てきた。

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