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言い訳 1

*言い訳1〜4までは梅本と女子しか出てきません。苦手な方はここで閉じていただければと思います。 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※  梅本は今、必死で考えている。和輝にバレてしまったであろう浮気の言い訳と、相手との別れ話の切り出し方について、だ。 事の始まりは二月ほど前、ふらっと寄った写真部の飲み会での事だ。結構好みの女子がいて、一緒に飲んでいたら盛り上がってしまった。一次会が終わったあと、何故かその子の家で飲み直すことになって数人で上がり込んだのだが、梅本は途中で寝てしまって、目が覚めたときには、彼女と二人きりになっていた。 その後、暫く雑談して、始発電車を待ったのだが、気がついたら何だか良い雰囲気になってしまっていたのだった。 とまぁ、かなり端折ってこんな感じだ。 梅本の正直な気持ちとしては、彼女は非常に可愛いかった。初めてでは無いらしが、初な反応にで男心を擽られたのだ。 それに引き換え和輝は……そういう事に慣れていて、梅本をリードするから、初めての時に衝撃を受けたものだ。それに普段から少し上から目線で、手のひらの上で転がされている感覚が大いにある。 まぁ、そう言う悪女っぽいところも堪らないんだけど…梅本はそう思いつつも、可愛らしい彼女の事を忘れられず、飲み会の日から暫く足繁く通っていたのだ。 彼女の家に行けば、そういう事 (・・・・・)になるし、回数が増えればそれだけ情が湧いてくる。それに、付き合ってる人がいると伝えた梅本に、健気にもそれでも良いと言うのだ。やっぱ、かわいいよなぁ…とついデレてしまう梅本だ。 一方和輝とは、上手く行ってはいる。が、最近何となく物足りなさを感じていた。何がと聞かれたら困るのだが、強いて言うなら刺激が無い。小さなケンカでもあればちょっとは刺激にもなるのかも知れないが、ぶつかりそうになると、すっと和輝が引くのだ。 それにそろそろ一年になると、いて当たり前、空気の様に無くてはならない存在なだけに、うっかりするとその彼女の話さえも許されるのではないかと錯覚を起こしそうになっている。 しかし、最近和輝が何か思い詰めている感じで、何か話したそうにしながら、曖昧に笑って言葉を引っ込めるのだった。 あれ、もしかして、バレてるな… 日頃鈍感な梅本も今回は気付いた。 それなのに、普段みたいに上から見下して問い詰めるのではなく、聞きたいことを聞けずにいる和輝がいじらしくて堪らない。それで我に返って猛省し、今に至るのである。  梅本は彼女に何と言って別れを切り出すか、考え倦ねていた。最近入り浸って、すっかり彼氏気取りだった梅本が別れようと言い出したら、彼女はショックを受けるだろう。たった二月、されど二月だ。 まぁ…当然そうなるだろうな…。梅本は思った。自分の軽率さが悔やまれる。しかし、一時の気の迷いと言えば彼女に申し訳ないが、結局そういう事だ。本気になれなかった。 先に伸ばしても良い事はない、とその日彼女の家に行ったのだった。

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