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第6話

あー、でも。 一緒に観覧車乗りたかったなあ...。 自宅に戻り、勉強机で両手で頬杖をつく。 はああ...ため息と遠い目。 観覧車の一室で抱き合ったり、手を握ったり、見つめ合って、イチャイチャしたり....。 お兄ちゃんの挙動が怖くて思わず帰って来ちゃったけど...お兄ちゃんが悪い訳じゃない。 お兄ちゃんは僕とイチャイチャしたくないんだろうか...。 また、僕は深いため息をつく。 翌日。 「どうだった?遊園地での初デート」 屋上で恭一さん、大貴さん、慶太さん、そして、お兄ちゃんと僕はお昼ご飯を食べながら。 真っ先に意気揚々とメロンパンをもぐもぐしながら、尋ねてきたのは慶太さんだ。 「楽しかったよ、な?奏斗」 「うん...」 「なに?奏斗は不満だった?」 カフェオレの紙パックのジュースを片手に恭一さんが聞く。 「楽しかったです、楽しかったんですけど」 みんなの視線が僕に集中する。 「今度は猫カフェに行きたいなって」 お兄ちゃんは大の猫好き。 猫に助けて貰いながら、 『可愛いね、お兄ちゃん』 『奏斗の方が可愛いよ』 ...なんつって、えへへへ。 「...奏斗、不気味な笑顔してる」 大貴さんに言われて慌てて、顔面を整えた。 「俺もさー、なななんと、副会長様に食事に誘われちゃったんだよねえ!」 副会長...背も高く、手足の長い、小顔な王子という肩書きを持つイケメンのαだ。 「大貴が?勘違いだろ、それか夢」 「はあ?違うし!部室に王子が来たんだから!」 「王子との接点はなんだよ、ねーだろ」 「何処かで俺を見かけてたらしいよ。可愛い!て思ったんじゃ?」 「お前が?可愛い?有り得ねー」 恭一さんと大貴さんのやり取りに僕は目を白黒させた。

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