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第11話
家族で夕飯を後にした奏斗は両手で緩んでしまう頬を抑え、ベッドで何度も寝返りを繰り返していた。
「嬉しい、嬉しい、嬉しすぎるー!」
なんと、両親は結婚記念日で温泉旅行。
2人を置いていく訳にはいかないから、と奏斗と優斗も一緒に旅行に行く事になったのだ。
「お兄ちゃんと一緒に温泉!部屋はツインだから....」
へへへへ....と、ずっと、表情に乏しかった奏斗が優斗と交際を始めてからは、思い出し笑いや想像からの突然、込み上げる笑顔にクラスメイトも驚かれている。
部屋がノックされ、不意に優斗が入ってきた。
「...お兄ちゃん」
ベッドの縁に腰掛けると、隣に優斗も腰掛けた。
「楽しみだな、旅行」
「...うん」
とうとう、僕たち、一線を超えてしまうんだね、お兄ちゃん....。
Ωの兄弟で、神様、ごめんなさい。
「料理も舟盛り、追加したんだって!湯船もさ、色んな種類、あるらしいよ!美人の湯、は男風呂にはあるかなあ」
....お兄ちゃんが嬉しそうに早口で捲し立てる。
きっと、二人きりの旅館の部屋がお兄ちゃんも照れくさいが故だろう。
うふふふふ、お兄ちゃんったら、可愛いんだから。
「一応さあ、旅館とかネットで調べてみたの、見る?」
「う、うん...」
溌剌とした兄はスマホを差し出した。
「旅館内もあるよ、ほら、めっちゃ豪華!部屋からの景色もオーシャンビューなんだって!」
「へ、へえ...」
僕はお兄ちゃんと旅館の一室で二人きり、とあらゆる妄想しているから、あまり興味はなかった。
互いにΩ。果たして、どんなエッチしようかなぁ...。
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