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第12話

ああ!朝日が眩しい! 三泊四日の旅行日和! 新幹線の隣で、ふわあ、とお兄ちゃんがあくびした。 「昨日さ、ワクワクしすぎて、眠れなかった」 「あー、遠足前とか、あるあるだよね」 「うん。俺、いっつもそう」 そうして、窓際に座るお兄ちゃんはコツン、と窓に寄りかかり眠った。 ...そっちじゃない。 お兄ちゃんの頭を持ち、自分の肩に乗せる。 よし、これでいい。 ふと、視線を降ろすと、すやすや眠る、兄の長い睫毛と薄ら開いた可愛らしい唇...。 両親とは席は離れているし、人目を気にしつつ、チュッ、なーんて事も出来るかなあ。 うふふふふ。 緩む頬を両手で抑えてると、肩を叩かれた。 「あら、優斗は寝ちゃったの?これ、お弁当」 母から2つの駅弁を渡された。 起きたら、あーん、したりして、食べさせ合いっこしよっ。 ...あ、お兄ちゃんの寝顔、見てたら、眠くなってきた。 気かつけば、お兄ちゃんは目を覚ましてた。 「おはよ、奏斗」 「おはよう、お兄ちゃん」 「駅弁、食べよ?」 「うん!」 キタキタキタキター!!! 「うわあ!美味しそ!ね、奏斗」 「うん!」 駅弁を開くなり、キラキラと満面な笑みのお兄ちゃん。 「いっただきまーす!」 あ。 「お兄ちゃん....」 「ん?」 「箸、逆」 「え?あー!」 途端、動揺した兄は箸を床に落とし、しょんぼり。 結局、僕の箸を交互に使いながら、駅弁を食べた。 てか、お兄ちゃんと付き合い始めて浮かれてしまい、お兄ちゃんがドジな事、最近、忘れちゃってるかも。 駅弁は美味しかった。

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