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第16話
「うちのアホに比べたら全然!」
「あ、アホ...?」
「あのアホの部屋、行ったことあります?」
「い、いや、ない、けど」
「凄いんですよ!部屋中、力士のポスター!カレンダー!一緒に寝てる気分になるから、て、天井にも貼ってあります!」
蓮太くんが早口に捲し立てる。
「それに、たまに参考書とか借り行くじゃないですか!力士の写真集か、あろうことか、相撲中継見ながら、目を血走らせて、はあはあ言いながら、右手動いてたり!」
「あ、ああ...DVD壊れたからって、うちに観に来たとき、画面に張り付いて、ハアハア言ってたけど、なるほど....」
「発情してるサインです!大丈夫でしたか!?」
「だ、大丈夫だった、よ」
蓮太くんのあまりの迫力に物怖じしてしまう僕。
「2人して、なに話してんのー?」
突然、慶太さんが明るく割り込んできた、その瞬間。
パーン!
何処からともなく、蓮太くんはハリセンを手に慶太さんの頭を叩いた。
「いったあ...まあ、だいぶ、慣れたけど」
「は、ハリセン...?」
「はい、だいぶ開発して、今は折りたたみ式です。にしても、僕、レンタルくん、て変なあだ名、付けられちゃってるし」
またもや、パーン!
慶太さんは頭をハリセンで蓮太くんにはたかれた。
「それ、僕のせいじゃないしー!」
慶太さんが頭を抑えて、口を尖らせ、蓮太くんはハリセンを背中側の帯に挟む。
「アホが慶太、て名前だから、母さんが、僕を蓮太にした」
「や、母さんに言ってよ、それー」
「ほんと、相変わらず、仲いいなあ、慶太と蓮太」
お兄ちゃんが微笑んだ。
....お兄ちゃん、ちょっと感覚ズレてる。
「だなあ、仲いいな」
「いいこといいこと」
あ、恭一さんや大貴さんもだった。
....恭一さんと大貴さんはわざとかなあ。
まあ、いいや。
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