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第17話
「なあ、優斗たちは温泉はもう入ったん?」
「うん、入った、な?奏斗」
「うん」
恭一さんに聞かれ、僕たち兄弟は顔を見合わせた。
「マジか。ま、温泉は何回入っても気持ちいいし、みんなで行こうぜ」
「さんせー!アルカリ性ー!」
パーン!
途端、見事な蓮太くんのハリセン捌きで慶太さんは頭をはたかれた。
「じゃ、行きますかっ!」
大貴さんの掛け声で、ぞろぞろと部屋を出て温泉へと向かう。
脱衣所でお兄ちゃんと喋りながら、恭一さんが浴衣を脱いだ。
その背中に...お兄ちゃんの背中の色気には適わないけど、恭一さんの艶っぽい細いけど、引き締まった体に見蕩れた。
大貴さんと慶太さんは互いにはしゃぎながら、浴衣を脱ぐなり、
「見て見て!僕の見事な息子!」
全裸になるなり、腰に手を当て仁王立ちした慶太さん。
「汚いもの見せるな」
パーーン!
脱衣所に蓮太くんのハリセンが鳴り響く。
周りのおじちゃん達も丸い目だ。
が、僕は思わず、
パチパチパチ...
無意識に拍手していた。
気がつけば、唖然としていた、おじちゃん達からも拍車喝采、中にはヒューヒューと口笛、
「M-1、頑張れよ!」
といった野次も飛ぶ。
てっきり、慶太さん、蓮太くんはお笑い芸人を目指す学生2人と間違われたみたいだ。
並んで、みんなで頭や体を洗い、思い思いに湯船を楽しんだ。
まではいいのだが....。
「あー、いい湯だったなあ」
「温泉の後の牛乳も格別だったねー」
何故、僕とお兄ちゃんの部屋で、みんな寛ぐのーー!!!
みんな、部屋に帰れー!
と、言えない僕がいます。
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