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第21話
「そんなに悩んでも仕方ないですよ、大貴さん。朝になっちゃいます。スズメが鳴き出しますよ」
泣きそうになってるのは大貴さんだけど。
「それに!ここの朝食、元三ツ星レストランで働いていたシェフのビュッフェらしいんです、兄に聞いた話し!食いっぱぐれちゃいますよ」
「...奏斗は優斗と仲いいな」
「ええ、まあ。羨ましいですか?大貴さんも頑張ってください」
ニコッ。
さあ、寝ましょう、と、とどめを刺してしまった大貴さんの背中を押し、無理やり大貴さんを寝かしつけた僕は兄の隣に戻る。
「...お待たせ、お兄ちゃん」
起こしてはいけない眠り姫...キス寸前だったのに、大貴さんの相談に乗っていたから....ごめんね。
再び、タコのように口を尖らせ、眠る兄の唇に近づけていく....
ぶっちゅー。
....柔らかい。柔らかいだけじゃなく、弾力もある、お兄ちゃんの唇。
止まらない。
5回ほど、ぶっちゅー、とキッスをした。
興奮が冷めやらず、僕はティッシュの箱を間近に置くと、兄の寝顔を見つめながら、勃起してしまったボクサーの中に手を潜ませた。
ハアハア言いながら、兄の寝顔を眺め、硬くなった股間を扱く。
....慶太さんの気持ち、ちょっとわかる気がする。
力士の写真集ならぬ、兄の写真集がもしあれば、僕はおかずにしてしまうだろう。
兄の可愛らしい寝顔を見つめたまま、僕は射精した。
あー、出したら、すっきりしたし、疲れた。
途端に睡魔に襲われ、兄の隣に寝転んだ。
パチッ。
掛け布団の中から目が覚めた。
いや、というか、実は起きていた。
目を開けていいものか悩み...薄目を開けたら、切ない表情で俺を見ながら、奏斗の右手が動いていたからだ。
隣に眠る、奏斗をチラ。
すぴー、すぴー、と可愛らしい寝息を立て、眠っている....。
「奏斗、ごめん。お兄ちゃん、我慢出来ないよ」
俺、優斗は誰にも聞こえないような小声で呟いた。
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