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第24話
「あー!腹いっぱい!」
兄と僕の部屋に戻った僕たち。
みんなが僕たちの部屋を我が部屋のように居るのも気にならなくなっていた。
大貴さんは膝を抱えて丸くなり、何処か遠い目....。
任せてて!大貴さん...!
「恭一さん」
「んあ?」
部屋に戻る最中に買ったペットボトルのジュースを飲みながら、恭一さんが間の抜けた顔を向けた。
「恭一さんは好きな人はいますか?」
びっくーん!大貴さんの体が大きく跳ねた。
「なに、いきなり」
「いや、どうなのかなって」
「好きな人ねえ...昔は奏斗がいいなあ、思ってたけど、優斗が好きだって知ってからは特に」
「ぼ、僕、ですか!?」
あまりの衝撃ニュース。
「またまた、恭一さん。冗談、やめてくださいよ」
「いや、ガチ。さすがに友人の好きな奴は取れないしさあ」
や、ヤバい...大貴さんを伺うと泣きそうな顔になってる...。
は、話しを変えよう!
「あっ、でも、王子はどうですか!?」
「王子?王子は大貴が好きなんじゃないの?」
「えっ、いやー、ねっ、大貴さん」
「えっ」
「大貴さんから聞いたんですが、王子のお目当ては恭一さんだったらしいんです。キューピットを頼まれたとか」
「....秘密にするって言ったのに」
大貴さんがうるうるな瞳で僕を見る。
でも、内緒にしていたら、先には進まないでしょう、と大貴さんに表情で知らせた。
「俺目当て?ガチ?大貴」
「う、うん....」
「やっぱりなあ、王子が大貴を選ぶ訳ないと思ったわ」
「で。恭一さんは王子にもしデートに誘われたらどうします?」
「えー」
僕以上に多分、大貴さんはドキドキしていそう。
大丈夫ですよ、と僕は大貴さんに笑顔を見せた。
「王子、イケメンだし、何より、超金持ちらしいしなあ、デートくらいいいかも。別にセックスする訳じゃーないし」
「「せ、せ、セックス....?」」
涼しい顔でペットボトルを傾ける恭一さんを僕と大貴さんは丸い目で見つめた。
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