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第25話

「お、お兄ちゃん....」 お兄ちゃんに助け舟を求めた僕だったが.... 蓮太くんは兄の耳に顔を寄せ、こそこそ話、兄の顔は湯気が立つんじゃないかってくらい真っ赤になり、驚愕のためか目も真ん丸だ.... 何を話してるんだろう...。 「わ、わかった....」 ぽつり、兄が呟いた。 「んあ?あっれ、慶太は?」 不意打ちな恭一さんの声に思わずキョロキョロ。 「あれ、ホントだ、慶太さんがいない...僕、ちょっと探しに行ってきます」 浴衣姿の僕は、すくっと立ち上がる。 蓮太くんは兄にくっつくみたいに耳寄せ話していて、なんだか逃げたいし。 廊下を歩いていたら、ふんふんと鼻歌を歌い、足取りの軽い慶太さんを発見した。 「慶太さん!心配したんですよ」 「あっ!奏斗」 慶太さんに誘われ、ロビーに並ぶ、マッサージチェアに座った。 「さっきから鼻歌ですね、なにかいいことでも?」 「あっ、わかっちゃったー?実はねー、お相撲さん達が宿泊してたの!僕の好きな力士さんまでいてさー!」 ふふふっ!と頬っぺを両手で抑え、本当に嬉しそうな慶太さん。可愛い...中身はともあれ。 「へー...力士さんが」 「僕の日頃の行いがいいからだろうねー」 足を組み、マッサージチェアに仰け反る、慶太さん。 蓮太くんがいたら、思いきり、ハリセンで張り倒されるんだろうな。 ....蓮太くんかあ....。 否応なしにため息が出た。 「どうかした?ため息なんて珍しい」 「それが...蓮太くんと兄が怪しいというか...僕の気のせいですよね!」 敢えて、最後は笑顔を作った。 「あー、蓮太、αだからなあ」 「あっ、α!?」 「うん。あ、奏斗は知らなかったー?」 「知りませんでした....」 「見た目、αっぽくないもんねー、蓮太」 確かに。見た目は慶太さんと負けず劣らずな小柄で細身な美少年....。 僕と蓮太くんは背格好や表情が乏しいことから、似ていると言われるし、お兄ちゃんを取られちゃう...!?

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