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第26話

慶太さんと部屋に戻ると、膝を抱え、石と化した大貴さんと、そんな大貴さんに話しかける恭一さんがいた。 「あっ、慶太、見つかったか」 「...兄と蓮太くんは...?」 「さあ?なんか話しあるとかで、連れ立って、慶太と蓮太の部屋行った」 僕は足元が崩れ落ちた。 αの蓮太くんとΩの兄とで、二人きり....。 終わった....。 泣きそう....。 「あ?どした?奏斗」 突然、恭一さんが僕の顔を覗き込んできた。 気がつけば、僕は涙を零してたみたいだ。 イケメンな恭一さんの顔が涙で歪む。 「何処か痛いのか?」 「....胸が」 「胸?」 よしよし、と恭一さんの大きな優しい手が頭を撫でてくれる... 「胸焼けかなー、蓮太なら胃薬、持ってそうだけどー」 「大丈夫です、時期に治まります....」 Ω同士の兄弟で恋愛なんて、やっぱり無理だったんだ。 αの蓮太くんとΩのお兄ちゃんはお似合いだ。 ぐすん、鼻を啜らせると、何処からともなく、ティッシュを持った手が伸びてきた。 大貴さんだ。 「....ありがとうございます」 ビーン!鼻を噛むと、一斉に笑われ、僕も自然と笑顔になった。 部屋に備えつけの電話が鳴り、昼食は親は親同士、子は子同士、こちらに人数分、運ばれるとのこと。 その前に、兄と蓮太くんを除くみんなで温泉に浸かった。 部屋に戻ると、兄と蓮太くんの姿があった。 「奏斗、温泉?」 僕は兄を無視し、テーブルに並ぶ料理を見つめ、 「美味しそう!」 「だな」 「僕、蓮根が苦手なんで、恭一さん、代わりに食べてください」 「蓮根?あーん、してくれるなら、食ってやるよ」 「わかりました」 僕は兄の正面で、恭一さんに蓮根だけでなく、幾品か、あーん、した。 「美味しい?恭一さん」 「奏斗に食わせて貰ってるから美味い」 恭一さんに笑顔を向ける僕。 大貴さん、ごめんなさい。

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