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第27話
それからというもの、兄と蓮太くんは2人揃って部屋を出ていく。
2時間くらいしたら、戻ってくる兄の顔は疲労困憊し、蓮太くんは活き活きしている。
....セックスのお疲れですか、あー、そうですか!
「ああ、なんだか、頭痛いかも、僕....」
「大丈夫か?奏斗」
....お兄ちゃんに言ってない。
「...少し、肩借りていいですか?」
僕は浴衣姿の恭一さんの肩に頭を置いた。
「いいけど。大丈夫?奏斗」
僕の額に手を当ててくれる恭一さん。
「あー、気持ちいい...恭一さんの手のひら」
「熱あるんじゃないですか?僕、部屋から薬、持ってきますね」
蓮太くんが部屋を出て、風邪薬と鎮痛剤を持ち、戻ってきた。
「飲ませて....恭一さん」
鎮痛剤を口に含んだ僕は、ペットボトルの水を恭一さんに手渡した。
恭一さんの激しくなる鼓動が伝わってくる。
恭一さんは水を口に含み、僕の唇に近づいてくる....
「奏斗のバカー!!!」
突然、大貴さんは叫ぶなり、引き戸を開け、走り去って出ていった。
恭一さんの手にあるペットボトルを受け取り、自ら、鎮痛剤を飲み込むと、僕も部屋を出た。
そういえば、慶太さんもいない。
しばらく歩くと、力士さんに肩車されて、はしゃぐ、慶太さんと遭遇した。
「慶太さん。大貴さん、見ませんでした?」
「大貴?なんかジョギングしてたー、浴衣で」
....ジョギング。
「どっち行きました?」
「あっちー」
指差した方に僕も走った。
ロビーのソファで膝を抱えて座り、うっ、うっ、と泣いてる大貴さんを見つけた。
「大貴さん....」
「奏斗も恭一が好きだったなんて...優斗と付き合ってるのに....」
「それが....僕の兄、蓮太くんと出来てます....」
「...えっ?」
大貴さんの視線を感じながら、僕も隣で膝を抱え、同じように項垂れた。
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