29 / 38
第29話
慶太と蓮太の部屋。
ベッドに並んで座る、蓮太のマシンガントークも然ることながら、部屋一面に貼ってある、力士のポスターも居心地が悪い。
「何度も何度も剥がしても、あのアホが貼り付けちゃうんですよねー!自宅の部屋もそうです!何回、燃えるゴミに出したか...!翌日には元に戻ってて!」
「...別に燃えるゴミに出さなくてもいいんじゃないかなぁ...力士さんにも失礼だし」
「じゃあ、なんですか!?優斗さんは僕が間違っていると!?」
「や、そういう訳じゃ....」
あー....帰りたい。奏斗たちがいる部屋に。
隣にはどうでもいい蓮太、視線を上げると力士のポスター。
と、突然、蓮太が背中側の帯からハリセンを取り出し、俺まで張り倒される!?
と、慄いた。
「このハリセン、10代目になります」
「....はあ」
「兄が8歳の時に初めて作りました、試行錯誤し、10作品目です。...何故かわかります?」
「さ、さあ...」
「父が兄を相撲を見に行こう、と誘ったからです!それまでの兄は今より幾分、マシでした」
「そ、そう...」
....こんなやり取りで一体、どれだけ時間が経過しているのだろう....。
しかも、急に奏斗は恭一に甘えだした。
恭一も満更じゃなさそうだわ、何故か、大貴も加担しているようにすら見える。
「恭一さん、見て見て、綺麗な景色ですね」
テレビ番組の海外の絶景を指差し、恭一に凭れ、奏斗が笑顔。
「確かに綺麗だな...でも、奏斗の方が100倍、綺麗だよ」
「綺麗だなんて、そんな...」
恥ずかしがる奏斗とそんな奏斗を見つめる恭一には優しい笑み。
それだけでなく、互いにちょくちょく、菓子をあーん、し合っている....。
「....で!どう思いますか!?優斗さん!」
はっと我に返る。
「ご、ごめん、聞いてなかった...」
テヘヘ、と笑って誤魔化したが、蓮太に笑顔はない。
「....みんなにバラされたいんですか?奏斗さんの寝顔見ながら、アナルに指を入れてオナニーしてたって」
「そ、それは困る!」
「だったら、ちゃんと話し聞いてください」
「....はい」
辛い....。
ともだちにシェアしよう!